水野の図書室
Diary目次過去を読む未来を読む
皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年05月17日(金) 服部まゆみ著『雛』

久しぶりに妖しい世界を堪能しました。
ホラーと言うより、怪奇でしょうか。良かったですー。

老婆が、画商のもとに、十二単の艶やかな人形を売りに来ます。幼児ほどの
背丈がある贅をつくした人形は、お雛さまだったのです……。


人形の怪談として読むと、からくりがよくわからないのですが、この老婆の
心の闇とお雛様の組み合わせが、不思議な雰囲気を醸し出しています。

老婆が持ってきたのは女雛で、男雛はどうなっているのか、おそるおそる読む
うちに、この老婆の孤独な人生が胸に迫りました。


『雛』は「かなわぬ想い」(角川ホラー文庫)の第四話。
このホラーアンソロジーのタイトル「かなわぬ想い」に、老婆の想いがリンク
します。老婆はずっと想いを抱いたまま・・。


明日は最終話です。坂東眞砂子さんの『正月女』。
楽しみなような、怖いような・・。





水野はるか |MAIL
Myエンピツ追加

My追加