水野の図書室
Diary目次|過去を読む|未来を読む
皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
久しぶりに妖しい世界を堪能しました。 ホラーと言うより、怪奇でしょうか。良かったですー。
老婆が、画商のもとに、十二単の艶やかな人形を売りに来ます。幼児ほどの 背丈がある贅をつくした人形は、お雛さまだったのです……。
人形の怪談として読むと、からくりがよくわからないのですが、この老婆の 心の闇とお雛様の組み合わせが、不思議な雰囲気を醸し出しています。
老婆が持ってきたのは女雛で、男雛はどうなっているのか、おそるおそる読む うちに、この老婆の孤独な人生が胸に迫りました。
『雛』は「かなわぬ想い」(角川ホラー文庫)の第四話。 このホラーアンソロジーのタイトル「かなわぬ想い」に、老婆の想いがリンク します。老婆はずっと想いを抱いたまま・・。
明日は最終話です。坂東眞砂子さんの『正月女』。 楽しみなような、怖いような・・。
|