水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
| 2002年09月18日(水) |
瀬戸内晴美『けものの匂い』 |
寂しさやせつなさは、感じなければ気持ちは穏やかかもしれませんが、これらの 感情は、生きている実感を知るためのかけがえのないものなのかもしれません。
「せつない話・山田詠美編」(光文社文庫)の第二話は、夫と娘を置いて家を出た ある女の話、『けものの匂い』。 流れていく「私」の身の上にぐいぐい引き込まれていきます。
瀬戸内晴美自身、その人生は波乱万丈。尼僧・瀬戸内寂聴(じゃくちょう)の 人生として、TV「知ってるつもり」で紹介されたので、ご存知の方も多いのでは。
動物園で身を寄せ合う二頭の虎の描写が、ずんずん胸に迫って、ヒトも動物なんだ とふっと哀しくなりました。
せつなさは、寂しさに限りなく近いけれど、全く違うもののようです。
せつなさ:☆☆☆☆
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