水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
| 2002年09月23日(月) |
八木義徳『一枚の絵』 |
読んだ後、ひたひたとせつなさの波が寄せてきました。 初めて見た一枚の絵に、郷愁に似たなつかしさを感じる男のお話です。 なぜ、その絵に心惹かれるのか、その男はゆるりと過去の記憶を辿ります。 そして、謎解きが終わったあと、男の胸をよぎるものは……。
これが、どんな絵なのかは、ぜひ読んでみて下さい。 絵を描いたのは、斎藤真一・・と言ったら、美術に詳しい方は想像できる でしょう。 夕暮れの海、すすき野、女旅芸人、などが文章をセピア色に染めていきました。
視覚と聴覚に訴えてくる不思議な小説です。 読んでいるのに、見ているような、読んでいるのに、聴いているような。 「せつない話・山田詠美編」(光文社文庫)の第四話、『一枚の絵』。 静かな秋の日に良く似合います。
せつなさ:☆☆☆☆
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