水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年09月24日(火) 丸谷才一『贈り物』

8月15日、終戦を東北の小さな農村で迎えた小隊。アメリカ軍に引き渡すため、
武器弾薬を集結することになったとき、歩兵砲のカバーが無くなっていたこと
から大騒ぎに。豚革のカバーは……。

砲口のカバーさえ、陛下から賜った神聖な武器と考える日本兵たちを、軍隊教育
のせいだと考える冷めた目の「ぼく」は、恋愛なんて馬鹿ばかしいと言いながら、
言葉とは裏腹に、一途な恋をする隊員を温かく見守っているようです。

戦争中に、本当にあったのではないかと思えるようなお話。
「せつない話・山田詠美編」(光文社文庫)第五話は、どんな時代も恋する気持ち
は同じだと教えてくれました。

恋が終わったとき、恋が始まる・・言いえて妙です。


せつなさ:☆☆☆


水野はるか |MAIL
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