水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
| 2002年10月08日(火) |
ヘンリー・ミラー『マドモアゼル・クロード』 |
Love is blind.─ 愛は盲目、なんて言葉がありました。 そそそ、そーなんです。あの女(男)は、特別な女(男)と思い始めたら、 もう恋に落ちているんです。そして、この恋は特別な恋。自分の恋は、ほかの 人の恋とは違う、なんて思うのは、立派な!?恋愛状態です。
そして、恋の魔法は絶大です。神経質なしぐさをこまやかなものに見せ、内向的 は思慮深く、お調子者は社交的に、おしゃべりな人は話題が豊富な人に、と、 自分に都合のいいように変換してくれるのです。
『マドモアゼル・クロード』、クロードという名の娼婦と彼女に恋した男のお話。 クロードは娼婦だけど天使なんだ、と男は語ります。彼女を大切に想う気持ちに 偽りは見えず、陽のあたる場所でふたりで暮らすことを考えるところが、なんと もせつなく・・。
大胆な性描写でかつて発禁になったヘンリー・ミラーの『北回帰線』を意識して 読むと、ややあっさり。後で、どっしり。訳は吉行淳之介。
せつなさ:☆☆☆☆
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