水野の図書室
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2002年10月12日(土) ジェームズ・ボールドウィン『サニーのブルース』

「せつない話・山田詠美編」(光文社文庫)の最後のお話になりました。
山田詠美が選んだ作品ですから、きっと純愛もの・・と思ったら、な、なんと、
兄弟愛がテーマでした!うーん、さすが詠美さま、ついていきますーー!笑

せつない、って、男女の間だけじゃないんですよね。
家族愛、兄弟愛がつれてくるせつなさは、誤魔化しようがなくて、逃げることも
できず、やっかいなものなのに関わらずにはいられず、まったく困ったものです。
先月末に読んだ山口瞳の『庭の砂場』も兄弟愛のせつなさでした。

『サニーのブルース』・・じーんとくるせつなさですね・・。
いつからか、少しずつ離れていった兄と弟。兄が埋めようのない大きな溝に気づ
いたのは、弟サニーがヘロインの密売と常用で逮捕されたときでした。高校教師
の兄がサニーに約束したかったことは──。

サニーがピアノを弾くシーンが印象的です。音楽は祈り、そのもの。

訳は北山克彦。

せつなさ:☆☆☆☆☆☆☆☆
高純度なせつなさに浸りながら14編の短編集を終えました。


水野はるか |MAIL
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