水野の図書室
Diary目次過去を読む未来を読む
皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年10月14日(月) 有島武郎『一房の葡萄』

「せつない話・山田詠美編」(光文社文庫)に続いて手にしたのは、「せつない
話第2集・山田詠美編」(光文社文庫)です。まだまだ、せつなさに浸っていた
い今日この頃・・というか、せつな好きなんですねー。せつなさに酔っている時
の気持ちと身体の状態がどうしようもなく好き・・な、水野です。ハイ。。

そこで、この『一房の葡萄』、トップを飾るに相応しいせつなさです。
随分前に読んだことがあったので、なつかしさも手伝ってトプンと入りました。
ただ、以前に読んだときは子供だったせいか、感じるせつなさが少し変わったよう
な気がします。

教科書にあった?ような有名な作品ですから、ご存知の方も多いと思います。
級友の西洋人の絵の具を盗んだ少年と優しい女先生のやりとりは、何度でも読み
返したくなります。そして、絵の具を盗まれた級友の翌日の行動に、ほっとした
り、うるうるしたり。窓から白い手をのばして、一房の葡萄をもぎ取る先生……
胸がいっぱいになりました。旧かなづかいならではの、味わい深い世界です。

時間のスピードはゆるゆると緩み、読書の時間までも豊かなものになりました。

せつなさ:☆☆☆☆☆☆


水野はるか |MAIL
Myエンピツ追加

My追加