水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
柵に沿った線路すれすれに建っている安アパートで暮らす充子(みつこ)と 歳の離れた愛人関係にあった「私」の日々は── く、暗いですぅーーー!
「せつなさ」をキーワードにした「せつない話第2集・山田詠美編」(光文社文 庫)の三つ目のお話ですから、ハッピーな展開なんて期待しませんが、それにし ても、暗い輪郭を始めに作って、そこから出ないように出ないように身を縮めた ような感じです。充子の生い立ち、母親のこと、ある日踏切で起きた出来事など、 悲しみを誘う破片に埋め尽くされていながら、香るせつなさはわずかです。 いえ、わたしがせつなさに麻痺してるのかも・・先月からせつない小説に浸りっ ぱなしですから・・。
せつない小説は、大きく二つに分けられます。 明るい光が降り注ぎながらも感じるのはせつなさという小説と、どうしようも なく暗い世界の中でせつなさしか見えない小説。前者の代表作家は山田詠美、 後者の方は水上勉、でしょうか。全く個人的な意見ですけど。
せつなさ:☆☆☆ 心象風景の中に踏切があるとき、遮断機が上がっていたら、うれしいですね。
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