水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年12月09日(月) 篠田節子『38階の黄泉の国』

好きな人とずっと一緒にいられたら・・いいですよねー!
でも、ずっとじゃなくて、ずっーーーとだったら、どうでしょうか?
「ガリバー旅行記」に、不老不死の国が描かれていたのをふと思い出しました。
そこは、好きな人(というより、好きだった人)と永遠に暮らせる国・・いいな
と思いますか?つ、つらいのでは・・笑 いつか終わりがあるから今がいとおし
いように、限りある時間だからこそ、愛することができるように思います。

どんなに愛しあうふたりにも、別れのときが用意されているのは、喜ぶべきこと
なのでしょうか。あの世、がどんな所かは知りませんが、あの世でも一緒にいた
いなんて、思わない方がいいみたいです。終わりがないということは、苦痛でし
かないようで……。出会った頃の気持ちを忘れ、軌道を外れていく想いは、愛で
はなく憎しみに姿を変えていきます。ふたりだけの甘美な世界が地獄に変わるな
んて悲しいです。

『38階の黄泉の国』─ 死者の世界を彷徨う男と女。訳あって結婚できなかった
ふたりが死後の世界でいっしょになったとき、永遠に出口がない場所で憎しみあ
っていきます。・・こ、怖い・・。


水野はるか |MAIL
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