水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2003年02月06日(木) 本多孝好『祈灯』

失ったものは二度とかえらない。過ぎた日には戻れない。一人で生まれて、死ぬ
時も一人。だからこそ、今この瞬間がいとおしいのです・・随分、感傷的に
なってしまいました。

『祈灯』─ 「僕」の妹、真由子の友達“幽霊ちゃん”。そんなあだ名がついたの
は、悲しい過去の出来事で自分の存在を消してしまったからだったのですが……。

真実の裏で息をひそめる本当の真実を紐解いていく「僕」の推理の見事さとまわり
を気遣う優しさが丁寧に描かれていながら、明るく振舞う真由子の心の傷を凝視さ
せてはくれないところが、逆に深みを増しているように感じました。そして、家族
であるゆえの、煩わしいほどのもどかしさとせつなさが胸に迫ります。


あなたの家から見える街の灯りは、あなたにはどんなふうに映るのでしょうか・・




水野はるか |MAIL
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