水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2003年02月08日(土) 本多孝好『瑠璃』

「僕」と四つ年上のいとこ、ルコの物語。無鉄砲なルコを慕う「僕」の中に芽生え
ていたものは……。

平凡な日常を嫌うルコが、年を重ねると共に一番嫌いなはずだった普通の女に
なっていく苦悩が滲んで、痛々しいです。思い出のために欲望を抑える「僕」に
は、共感できるような、、できないような、、(どっちよ!笑)

青空の輝きのような子どもの頃の「僕」とルコ。“なぞなぞ”で遊ぶふたり、羨ま
しいです。こんないとこがいたら、楽しいでしょうね。“なぞなぞ”って、かなり
親しい間柄じゃないとできないでしょ?どんな答えも受け止めてもらえる安心感
があってこそ、ヘンな問題も出せるし、とぼけた答えも言えます。ルコと「僕」の
“なぞなぞ”は、最後の問題以外面白いですね〜。

ラストには少し納得できないところがありますが、胸をしめつけられるような
せつなさは、濃密な時間を過ごせた満足感に変わっていきました。
「MISSING」(双葉文庫)、お薦めです。




水野はるか |MAIL
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