水野の図書室
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2003年02月10日(月) 本多孝好『彼の棲む場所』

突然の電話にもいろいろありますが、昔の同級生からの電話ほど警戒するものは
ありません。わたしのところにたまに飛び込んでくるそれは、結局は選挙のお願い
だったり、宗教の勧誘だったり、高額な商品の購入だったり・・電話を切れない
のは、昔の同級生だから、それだけなのです。

『彼の棲む場所』も昔の同級生からの電話で始まります。(あぅ、、ヤな予感)
でも、「僕」は彼と会う約束をします。(あん、、よせばいいのにぃ〜)
そして、彼は有名な大学教授でテレビにも顔を出す文化人。「僕」は私立図書館
員です。(あ・・でも同級生が有名人になるのって、何となく嬉しいなぁー)
ところが、彼の話を聞くうちに、その心に棲む狂気を知ることに……。

どうも読んでいて居心地が悪いくらい引き込まれます。
私立図書館員だなんて、わたしは憧れますが、「僕」は自分を卑下してるようで、
なんだか、んー、そのへんも居心地の悪さにつながります。彼より、駄菓子やの
老婆のキャラが際立って、この老婆と「僕」を主軸にしたストーリーをリクエスト
したくなりました。本多孝好は、この短編集に5年を費やしたとか。その後、長編
も書いてらっしゃいますが・・ゆっくりじっくり書くタイプみたいですね。
ついていきたくなりました。この本は、わたしの本棚の目立つ場所に・・。

本多孝好「MISSING」(双葉文庫)、ありがとう。


水野はるか |MAIL
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