水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
| 2003年03月04日(火) |
宮部みゆき『燔祭(はんさい)』 |
「クロスファイア」の青木淳子は、こんなふうに始まったのかと思うと、なんだか、 古いアルバムを見せてもらったようで、濃密な時間を過ごした気分です。 ただ、心に何か引っかかるんです・・何か読み落としているように落ち着きません。
『燔祭(はんさい)』─ 高校生の妹を殺され、犯人に復讐を考える兄に、同じ会社で 働く青木淳子が協力を申し出ます。淳子には念力放火(パイロキネシス)能力があり、 対象を見つめるだけで発火させることができたのです。
目立たぬように暮らさなければならない特殊な能力を持つ者の苦悩が描かれては いるんですが、なぜか文中に留まったままで素直にこっちにこない、、というか、わたしが 受け取りを拒否してるみたいな状態なのです。うーん、何か引っかかります。 殺された妹を兄が回想するシーンのせいでもなく、自分を武器だと言い切る淳子に 近づけないからでもなく・・。
本当に復讐なのか、自分の力が暴発する前に使いたいのか、微妙なところです。 何より、復讐という名のもとに人を殺す、、なんて許されないのでは・・。
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