水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
| 2003年03月06日(木) |
宮部みゆき『鳩笛草』 |
『朽ちてゆくまで』では予知能力、『燔祭(はんさい)』では念力放火という超能力の世界を 見ましたが、今日の『鳩笛草』は、人の心を読み取れるリーディング能力を持った女刑事が 主人公です。ちょっと背中にふれただけで、その人の心の中にあるものが見えてしまう・・。 ふと、数年前のテレビドラマ「サイコメトラーEIJI」を思い出しました。遺留品に手を翳しただけで、 犯人の姿や意識が見える高校生、映児(TOKIO・松岡クン、気が短い)とプロファイリングで 犯人を追う志摩刑事(大塚ねね、クールでカッコいい!)が大活躍。面白かったです。
あのドラマの映児は、その能力ゆえに友だちとケンカしたり、悩んだり、体調を崩したり、 自分の能力を呪ったり、苦しそうでした。『鳩笛草』の本田貴子刑事も苦しみます。 全体を覆うのは、特殊な能力を持つ者の悲しみと苦しみですね〜。すごい能力なのに、 刑事だからこそ、人に言えないのは、つらいでしょうね。今日は、ビシバシ伝わりました。
そして、同僚の刑事が温かくて、救われます。どんな能力を持っていても、やはり、ひとり では生きていけない。誰かに支えられ、誰かを支え、そうやって生きていくんです。
「鳩笛草」(光文社文庫)の3編に登場した3人の女性は、それぞれ衝撃的でした。 一番良かったのは?と聞かれたら、『朽ちてゆくまで』です。構成は、ホント見事です。 ぜひ読んでみて下さい。
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