水野の図書室
Diary目次過去を読む未来を読む
皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2003年04月06日(日) 浅田次郎『あじさい心中』

桜が満開です。
この季節、浅田次郎の作品が読みたくなるのは、『うたかた』(「見知らぬ妻へ」
収録、光文社文庫、2002.1.30記)の印象が強いからでしょうか。風にまかせて散
る桜に、人生の哀しみを感じるとき、どっぷりと浅田次郎のせつない世界に浸りた
くなるのです。あぁ、、つくづく、せつな好きです。

ミステリ疲れの後に選んだのは、「薔薇盗人」(新潮文庫)。帯には、“悲しい瞳
に、バラは咲かない。”罪つくりな6短編──あぅ、久々に帯にキュン。。胸キュン
帯ランキング(今、考えました。笑)上位間違いなしです。期待が高まります。
で、ど、どんな罪つくり? 泣いちゃうのでしょうか? と、ページを捲って最初
は『あじさい心中』。リストラされたカメラマンとさびれた温泉街の踊り子のお話。

つかの間、でも、深く心通わせていくふたりが・・せつないです。
誰かを理解するのって、時間は関係ないんですね〜。たった一夜で、踊り子は、こ
ころをすべてカメラマンに開き、カメラマンも踊り子からの心中の誘いを承諾します。

浅田次郎の描く哀切は、技巧に裏打ちされながら、技巧を感じさせない何かがあっ
て、いい感じです。
そして、安心して泣ける・・と思ったんですが、今夜の涙腺は鈍感モードなの
か・・泣けません。。
あぁ、、なんとなく思いきり泣きたい。でも、泣けない。泣きたい。泣けない。泣かせて……。


水野はるか |MAIL
Myエンピツ追加

My追加