水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
| 2003年04月19日(土) |
浅田次郎『ひなまつり』 |
桜が散ってしまいました。 何か、失ったものがあるようで、心細く、こんなときに読んだからか、いえ、季節 は関係なく、泣きたくなるような気持ちなのです。
『ひなまつり』 ─ 父の顔を知らない少女が、夜の勤めをする母を心配しながら、 独りで留守番をしています。少女漫画の付録のおひなさまを作っていると、以前隣 に住んでいた男の人が訪ねてきて……。
「東洋の魔女」「東京オリンピック」の昭和の頃、という時代設定が、ストーリー を際立たせて、少女の孤独とひたむきな想いが真っすぐに伝わってきました。 死んだ祖母が言っていた言葉を深く心に刻む少女がほしいのは「お父さん」。 勇気を振り絞って、少女が口にした言葉に泣けてきます。。
ぜひぜひ、読んでみて下さい。家族の欠落をモチーフにした作品が多い浅田次郎な らではの、安心して浸れるせつなさです。せ、せつない・・。
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