水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
| 2003年05月10日(土) |
恩田陸『海にゐるのは人魚ではない』 |
息子の春と共に友人宅を訪ねようとしていた関根は、海を見ながら交わされる 子どもたちの会話から、ある完全犯罪を想像していくのですが……。
海にゐるのは、あれは人魚ではないのです──中原中也の詩、「北の海」の 一節です。この詩が好きで、好きでたまらない、という作者の想いが伝わって くるような作品です。息子と父が、あうんの呼吸で推理の底に同じ詩を浮かべる なんて、・・いいですよね〜。こういう親子関係、素敵ですぅ〜♪
引退した判事と現役検事の親子の会話って、面白いですね〜。丁寧なことに、 二人揃ってミステリ・ファン!見るもの聞くもの、すべてが推理を呼びます。 なぜ?・たぶん・しかし・なるほど・だとすると・そうか・それだ・しかし・・と推理は 海のように広がり、読む方としては、置いてかれないよう、二人に歩調を合わせ 必死についていくのです。
そして、ラストは・・読んでみて下さい。 ミステリの海はつめたくあたたかく、浅いようで深く・・。
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