水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2003年05月14日(水) 恩田陸『廃園』

恩田陸お得意(と、わたしは思う)の、“ああ、あれはこうだったのか”ものです。
何年も昔のことを思い出すうちに、その時は気づかなかったことが見えてきて、霧が
はれるように全体が見えてくる。しかし、真実に近づくほど、つらく哀しい想いは増幅し、
思い出したことが良かったのか、謎は謎のままにしておいた方が良かったのか……
後悔する新しい気持ちが生まれてくるのです。

関根のいとこ、結子が薔薇の香りに包まれた庭で死んでから30年以上たった夏、結子
の娘、結花に呼ばれて、その庭を訪ねた関根は……。

幻想的な世界です。愛しさは憎しみにも似て、女心は複雑なのですよ。ふむふむむ。
はふぅ・・死ぬときに会いたい人が一番愛してた人というはよくわかります。。

いとこ、という微妙な関係で思い出すのは、本多孝好の『瑠璃』(「MISSING」双葉文庫、
2003.02.08記)。そう、僕とルコの物語。あのせつなさがよみがえりました。


水野はるか |MAIL
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