水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2003年07月11日(金) 阿刀田高『白い蟹』

・・怖い・・。
晩秋のロシア、エカテリンブルグの女子修道院にある本の調査に行った
学芸員が見たものは──。

ロシア皇帝一家終焉の地、エカテリンブルグは、アナスタシア伝説誕生の地
とばかり思っていたのですが、皇子アレクセイを題材に、これほどの物語を
紡ぐ阿刀田高って、す、凄いです。。としか、言いようがありません。

軽佻に浮ついた感じなどまったく見えない空間に、ひっそりと息づく皇子は、
夢か現かわからないまま、読み手の記憶にも深く刻まれていきます。
そして、ラストと冒頭がするするとつながる瞬間にドキッ!
短篇の名手と言われる職人芸に唸りました。
ぜひぜひ、読んでみて下さい。


水野はるか |MAIL
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