水野の図書室
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2005年06月11日(土) |
若竹七海『殺しても死なない』 |
殺しても死なない=ダイハードですが、映画の「ダイハード」と違ってアクション ものではありません。元警察官だった作家のところに、推理作家志望の男から 『完全犯罪』というタイトルの小説が送られてきます。小説に完全犯罪としての 不備はないかというもので、何度か添削してやってるうちに、これが現実の殺人 計画になっていくというお話。
完全犯罪を扱った小説は今までいろいろ読んできましたが、結論から言って、、 不可能ですよ、完全犯罪なんて。どんなに綿密な企てでも、それは自分の頭の 中だけで構築されたものですから、思わぬことで、それも本当に些細なことで 簡単にくずれてしまうものです。
『殺しても死なない』で怖かったのは、殺人計画より、見知らぬ男から郵便物が 届くことです。世の中の作家達の中にも、熱烈ファンレターならともかく、添削 してほしい小説を送ってこられる方もいらっしゃるんでしょうね。
多忙を理由に断わればいいのに、評論家と知り合いだみたいなひとことで、 しぶしぶ小説を添削してやる人間味あふれる主人公が、いざとなると、鋭い 推理力で頼もしく変身するのは、ある意味「ダイハード」でもあります。
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