水野の図書室
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2005年06月19日(日) 池井戸潤『銀行狐』

面白いのに紹介するのが難しい小説が時々あります。『銀行狐』みたいな小説。

何が難しいって、池井戸潤は元銀行マン。これを読んで、銀行の内情がわかった
なんて思ったら、小説ではなくなるし、全くのフィクションとも思えない緻密さ
は、やはり、元銀行マンだからこそ書ける部分を持ち合わせていたからで……。

自分の知らない世界を覗けるのは楽しいものですが、見せる方は大変ですよね。
元銀行マンが書いたから読み応えがあると言うのは簡単ですけれど、銀行マン
なら誰もが書けるわけじゃなく、池井戸潤は小説家だから書けるんです。
そこを押えておかないと、ふーん、銀行って、こうなんだーーで終わってしまう。
元銀行マンというのを、一時的にでも忘れて読むと良いのかもしれません。
純粋に小説として楽しむためにも。

狐が手紙を書く銀行ミステリー、読んでみて下さい。余計な先入観念は持たずに。


水野はるか |MAIL
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