水野の図書室
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2005年08月30日(火) 北森鴻『人形転生』

雅蘭堂の居心地の良さに、ずっとお店にいたかったのですが、とうとう最後の
作品になりました。早く読みたいような読まずにいたいような、複雑な気持ち。
店主の越名さん、魅力的です。外見はおいといても(失礼)、鑑定眼は抜群。
それを鼻にかけない自然体なところが、す・て・き・です。越名さんのような店主
の下で働いたら、毎日が刺激的で新鮮で面白いだろうなぁ〜と思います。

「孔雀狂想曲」棹尾を飾る品は、ビスク・ドール。アンティークドールの一種で、
一度素焼きにされたパーツに上薬をかけて、もう一度焼き、人間の肌色に近い
風合いをだした人形です。ということは、もちろん美術品で、お値段も相当!
いろいろな骨董品を見てきて、何か足りないと感じてたんです。そう、お人形。
骨董屋さんでは、マストアイテム、でしょ?好奇心がムクムク膨らみます。

『人形転生』──謎のビスク・ドール、謎の客師、謎のコレクターの登場で、
もう謎謎づくし。その上、謎の火災まで。そして明かされる人形の過去。
テンポは良いものの、殺人事件となると、なんだか……。すっごく暗い話なのに、
なぜか小気味良くすすみます。それが、救いなのかもしれませんが。犯人が
越名さんにペラペラしゃべるのは、、なぜ?越名さんのキャラから?
人形の名前も…ありきたり。。。

ヘンにからみたくなるのは、小説の世界にストンと入っているからですね。
語りたいんです。この場から離れたくないんです。←自己分析
越名さま(いつのまにか、さまづけ)が大好きになっているし、バイトの安積にも
しっかりね!と応援したくなっていますもん。

「孔雀狂想曲」(集英社文庫)、良かったです。
骨董屋さんをめざす人、必読。そうでない人も、ぜひどうぞ。


水野はるか |MAIL
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