水野の図書室
Diary目次過去を読む未来を読む
皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2005年10月20日(木) 本多孝好『WISH』

死を前にした患者の願い事を何でもかなえてくれる仕事人だと思われて
いる「僕」。今回は、14歳の女の子の願いを聞いて、人探しです。
修学旅行先で知り合った大学生に、一緒に撮った写真を渡して、会いに
来て欲しいと伝えて欲しい……それが最後のお願い。

恋と呼べるほどの感情ではなくても、拙く、模糊とした感情を抱く彼女を
不憫に思う「僕」は、なんとか、大学生に会わせてあげようと奔走します。

なんて“いい人“なんでしょうか、僕。「MISSING」(双葉文庫)の『蝉の証』
に登場した僕も、いい人でした。普段なら、安易に使うのは躊躇われる
“優しい人”という言葉が素直に出てきます。同情だけでなく彼女のことを
思いやる僕の温かい気持ちが、こちらの胸にも真っ直ぐ向かってきます。

彼女が大学生に会いたかった本当の理由は──。せつない。。


もし、死を覚悟するようなことになったら、あなたは何を願うでしょうか。


水野はるか |MAIL
Myエンピツ追加

My追加