Opportunity knocks
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2007年03月27日(火) 初欧州旅行 3日目

朝。昨日と同じく7時前に(強制的に)起き、シャワーを浴びて朝食。
ご飯をたべながら今日一日の予定について話す。(フランスへ行く)飛行機の時間が15時なので、それまで昨日ほとんど休館だった美術館をまわろうと言う事になった。
急いで身支度をして8時前にはホテルをでる。
まず、たぶん混雑というか待たされることを予想してウフィツイ美術館へ。
自分たちは早めに行動したつもりだったのだけど時既に遅しで、すでにかなりの行列ができている。見通しがあまかったことを痛感。ガイドブックをみるとあらかじめ予約(英語可)ができると書いてあり、実際予約をしていた人達は列に並ばずに別の入り口から入っていた様子。貴重な時間をムダにしてしまった。
1時間半ほど待たされてようやく入り口へ。ボディチェックと荷物検査を受け、半ば疲れながら美術館の中へ入る。ギャラリーは上階にあるらしく、大きくて幅のある階段を何階も上がってやっと絵画のある部屋へたどりつく。

足を踏み入れてまずその展示物の多さに驚く。というか建物、空間すべてが芸術品。無造作に置かれている彫刻ひとつひとつが素晴らしい。
ちょっとうまく言えないのだけど、やっぱり日本の美術館の中でみる西洋美術と、現地の雰囲気の中でみる西洋美術は感じ方、捉え方がかなり違うと思う。何が違うのかといわれるとそこがうまく言葉にできないところなんだけど、あえていえば作品を特別視することなく自由な目線で鑑賞することができるということかな。とにかく今までにない親密さで多くの美術品をみることができたような気がした。
ボッティチェッリの「春」は小さな花のひとつひとつまでが新鮮で鮮やかで、ほんとうに素晴らしかった。あと、フィリッポ・リッピの「聖母子とニ天使」がとても印象に残ったし、カナレットも良かった。この美術館のメインのひとつ、ダ・ヴィンチの「受胎告知」は今東京(横浜?)にいっているらしく、見る事ができなくて残念だった。
そんな感じで豊かな時間を過ごした後、次の目的地であるサン・マルコ美術館へ向う。と、そのまえに一度荷物を置いておこうと、いったんホテルに戻ることに。これが悪夢の前触れだった(なんで美術館に直行しなかったんだ?)ホテルに着いて荷物の出し入れをしたあと、出かける前にトイレへ。急いでいたので無造作にバックを洗面所のへりへ置いた。と、その瞬間!バックの中身がざざざーっと雪崩のごとくビデの中に!!!!口紅…携帯…ハンカチ…デジカメ…縮緬の小銭入れ、すべてが水浸し。ああ無情。
口紅やハンカチなどはこの際どうでもよい。肝心なのは携帯とデジカメ!慌てて拾い上げたのだけどスイッチを入れても画面は真っ暗、それを見てわたしの目の前も真っ暗。とにかく蓋をあけてメディアを取り出し、隅々まで水気を拭きとって超強風ドライヤーで乾かす。もうなんでこんなことがおきるんだよー(自分がドジダカラ)とパニック状態。とても美術館にいけるような状態ではなくなった・・・。
そんな修羅場を尻目に連れ合いとコドモは、「んじゃおれたち昼飯くってくるから」とわたしを置いてでかけてしまう。ああ今頃は早めのランチをとったあとサン・マルコ美術館でフラ・アンジェリコの受胎告知を見ているはずだったのに!
自分のあほさ加減にうんざりしつつ、あくまでヒトゴトの連れ合いとコドモに悪態をつきつつ、先月買った(変えた)ばかりの新携帯と新デジカメがなんとか蘇生するようにと祈る思い。
そして1時間あまり経過。ドライヤーの超熱風が功を奏したのか、まだらになった画面ではあるがなんとか2つとも起動するようにはなった。やっと目の前に希望の光が。。神様ありがとうございます!!!と感謝の祈りをささげ、やっと人心地がついた。
そうこうしているうちに連れ合いをコドモが戻ってくる。「ほい、昼ご飯」ホイルに包んだピッツァを買ってきてくれた。ほっとしたら急に猛烈にお腹がすいてきたので、むしゃむしゃとピッツァをたいらげ、コーラを飲む。ふと時計をみると、当然のことながら12時をまわっていた。結局サン・マルコ美術館へは行けず仕舞い。もう一度行こうと思っていたアクセサリーのお店やステーショナリーのお店も行けなかった・・・。後悔の嵐。あのとききちんとバックを手に持っていたら、いやそもそもバッグを持ってトイレに入らなければ、いやいやホテルに寄り道せずに美術館へ直行していれば・・あーきりがない。
後悔と脱力感にさいなまれながらホテルを後にして空港に向う。アメリゴ・ヴェスプッチ空港(名前思い出した)。
そして14時半、イタリアを離れフランスへ出発。まだまだ後悔と脱力感は消えてないけど、でも良い街だったなーと少々感傷に浸る。願わくばまたいつか。今度はもっとゆっくりした時間の中で訪れてみたいと思う。

飛行機はたぶんスイスとの国境をこえて飛んでいる様子。天気が良いのできらきらと光を反射させながら蛇行していく河や、山の稜線がくっきりとみえる。小さな街や集落が現れては消え、消えては現れる。ほんとうに見ていてあきない。小さな子供のように窓にはりついて、そんな景色をずっとみていた。





1時間半ほどの飛行時間であっというまにパリ着。シャルル・ド・ゴール空港の、どうやらターミナル2に着いたもよう。宿泊するホテルがオペラ座の近くなので、オペラガルニエ行きのシャトルバス(ロワシーバス)に乗るつもりでバスの発着所を探す。とにかく広大な空港なので歩いても歩いても目標の場所が見えてこない。ほんとうにこの方向で良いのかだんだん心もとなくなってきて、何度も通り掛かりの人に道をきく。うーん旅行ビギナーまるだし。。それでも何とか目当てのバス乗り場が見えてきてやっとひと安心。ひとり8・2ユーロの料金でオペラガルニエまで。しばらく無味乾燥で殺風景でただっぴろいところを走っていたのだけど、20分くらい走ったところで街らしきものがみえてきた。
景色をみながら、ここはまぎれもなく都会なんだなあと、しごく当たり前の事を思った。特にフィレンツェにいったあとだから余計そう思ったのかな。思うに都市の形態というか雰囲気というのは、東洋西洋関係なく似ているのかもしれない。人の多さ、視線、歩き方、空気の悪さ、喧騒、車の往来、建物のこみぐあい、ネオン、都市を形成するものの要素というのはたぶんどこも同じなのだろう。そういう意味で、ああこれは見なれた景色だ、とおもった。

そんなことをぼんやり考えているうちにバスはオペラガルニエに到着。時間はもうすでに6時をまわっている。ホテルまでは歩いていこうと思えば歩ける距離だったけれど、荷物もあるのでタクシーでいくことにした。メトロのグラン・ブルーバール駅の近くで○○ホテルまで、と英語で伝えると、さすが都会。普通に英語が通じる。料金は12ユーロほど。距離からして少し高すぎるような気がしたのだけど、交渉する気力もないので言われるままに支払う。でもやはり都会だけあって料金をごまかす(水増しする)タクシー運転手はかなりいるような気がした。メーターを見せずに料金を請求したり、道を知らないと思ってわざと遠回りして走ったりなどなど。ぼられないためには細かく指示をだしたり、乗る前に料金を確かめたり、メーターの表示を求めたり、はっきりと行き先を提示することが大切かもしれない。

到着したのはホテルというよりプチホテル、という感じの小さめなところ。それでもスタッフがとてもわかりやすい英語で丁寧に説明してくれたので好印象。部屋も清潔でシャワーのお湯もちゃんとでるし、角部屋で大きな窓がふたつあってとても眺めがよかった。





服を着替えて、とりあえず凱旋門&コンコルド広場まで行き、その後夕食をたべて帰ろうということに。通りにでてメトロの駅に向かう。はじめて入るメトロの構内。時間はもう8時近い(けどまだ外は明るい)。と、そのタイミングでトラブル(?)が発生した。パリ・ヴィジットという乗り放題のパスを買うか買わないかで揉めはじめるわたしと連れ合い。明日行くヴェルサイユ宮殿はかなり郊外だし、普通に観光に公共の乗り物(メトロ、バス、RER)を使えばもとはとれる、と説明したのだけど、連れ合いは料金が高すぎるし、もとがとれるとは思えないと主張。しばらく不毛な言い合いが続く。結局パスを買うことになったのだけど、その後も連れ合いはぶつぶつきこえよがしに文句を言うので、わたしの怒りのバロメーターは上がるばかり。その上、メトロの構内は不穏な空気がただよっていて、どうみても危なそうな若者が奇声をあげながら走りまわっていたり(手に棒らしきものを持っていた)、うつろな目をした浮浪者風の男が近づいて来たり、銃を持った職員が改札以外の場所で検札していたり、と日本では考えられない状況。できるだけ早く降りたいのだけど路線の乗換えがよくわからなくてなかなか行き先が定まらない。
やっとのことで路線を乗り換えて凱旋門に到着。時間は8時半過ぎ。さすがに外は暗くなり始めている。
ようやく地上にでたのはいいのだけど、予想外の地下鉄の治安の悪さに、またさっきのパスの購入についての言い合いが始まる。だから買うのやめようっていったのに、という連れ合いの言葉からはじまって、またもや不毛な水掛け論がはじまる。
ライトアップされた凱旋門はとても美しく、暮れかかった夜空に綺麗に映えている。そんな中あーだこーだと言い合いをするふたり。ばかばかしいと思うけれどやめられない。険悪な状態のまま凱旋門へ向う。

小さく狭い螺旋の階段を上り頂上まで。外にでると、ほんのりあたたかくてさらっとした風が吹いていてとても気持ち良い。凱旋門を基点にして四方へ伸びている道が、イルミネーションできらきら輝いていてとても綺麗。シャンゼリゼ大通りを見ると、はるかかなたに高層ビルに囲まれたバスティーユの新凱旋門がみえる。とても素敵な眺め。

もときた階段を下って地上に降りる。さてこれからどうしようかと切り出そうとしたら、連れ合いがもう地下鉄にのるのは嫌だと宣言。あーそれは結構結構おすきにどうぞ!とさらに険悪に。コンコルド広場はあきらめ、タクシーを拾ってホテルの近くまでもどることに。
適当なレストランに入って口もきかずにそれぞれオーダーし、でてきた料理を黙々とたべる。それをためいきまじりに眺めるコドモ。ああ不毛。
そんな状態のまま食事を終えホテルに戻る。服を着替えて順番にオフロに入り、ベットにもぐりこむ。ああ今回こそは喧嘩をせずに(海外へいくと毎回おきまりのように大喧嘩をするのです)旅行を終えようとおもったのに…。
明日が思いやられるなあ、とうんざりしながら眠りにつく。
そんな旅行3日目なのでした。。




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