日々雑感
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東京へ戻る日。駅のそばの喫茶店でコーヒーを飲んだあと、友人がホームまで見送りにきてくれる。ホームで誰かに見送られるのなんて何年ぶりだろう。いつもの帰省でそんな大げさなものではないし、また会えると思っても、見送り、見送られというのはやはり寂しい。彼女は新幹線と逆の方向へと走る電車に乗って帰っていくのだ。
東京駅に着いたのは日も暮れて暗くなった頃。ホームに降りると、春先の東京の匂いがした。初めて上京した季節の匂いだ。
知らない土地へ行ったときは、例えば電車から、飛行機から、初めて街に降り立ったそのときの空気の匂いがいちばん強く刻まれる気がする。まだ桜が咲くには早い春先の東京、真夏の九州、夏の終わりの北海道、それぞれの空気の匂いを今でもはっきりと覚えている。そして、再び訪ねたとき、その空気の匂いで「また来たのだ」と実感したりするのだ。
今日の東京の匂い。なつかしい匂い。「ああ、東京だ。」と思った。ちょっと嬉しかった。
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