日々雑感
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図書館へ行く。今日もいい天気。電車の窓から外を眺めると、線路沿いの木の塀に布団が何枚も干されている。
今月号の「新潮」に載っていた江國香織と庄野潤三の対談を読む。新聞広告で見て気になっていたのだ。対談は微妙にかみあわない感じですすみ、でもそのずれ具合が面白い。特に庄野潤三、やっぱり何ともいいキャラクターだ。対談中、庄野夫人も何度か顔を出して、そのやりとりがまたいい。
対談の場所は庄野宅なのだが、テーブルの上にあった果物を見て「これ、かりんですか?」と江國香織。「いえ、マルメロです。」と庄野潤三。庄野家では、知人が毎年送ってくれるそのマルメロで作ったマルメロ酒と、梅酒とかりん酒を三分の一ずつ混ぜて飲むという。
江國「おいしそうですね。」 庄野夫人「お飲みになりますか。」 庄野「まあ、まずは紅茶から…。」
こんな感じでゆるゆると話がつづく。最近の庄野さんの小説のような世界だ。江國さんも庄野潤三も、日々の細かいことを丁寧に書く。作品の雰囲気は違うけれど、二人ともこの一点で共通している。ディテールを読む喜び。何でもないことを書いているようで、それがそのまま小説になる(ある世界をつくりだす)、その力の正体はいったい何だろうと思う。
帰りは歩く。梅の花が咲いている。大きなみかんの実も見える。たくさんの木の中を歩いて行くのは楽しい。土の匂い。小学校からチャイムの音が聞こえてくる。散歩日和の午後だ。ずっと歩いていってみようかと思ったが、やらねばいけないことを思い出し、おとなしく家に帰る。駅前のスーパーによったら、バレンタインのチョコレートがもう並んでいる。早い早い。その前の節分はどうした。
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