日々雑感
DiaryINDEX|back|next
2002年02月01日(金) |
こんなお父さんは好きですか |
午後から図書館へ行こうかと思っていたが、日和って近所の喫茶店に変更。本や資料など持って出かける。最近改装したばかりなのだが、近所に住む友人が「なかなかいい」と言っていた。1階で飲み物を受け取って2階へあがると、窓が大きくて通りが見えるし、明るいし、空いているし、たしかにいい。隅っこの席に座る。
本屋でもらってきた新潮社のPR誌「波」を読む。「怒る父、騒ぐ父、嘆く娘」というタイトルの対談が載っている。阿川佐和子はわかるが、もう一人の斎藤由香さんというのは誰だろうと思ったら、北杜夫の娘さん。阿川弘之と北杜夫の対談集『酔生夢死か、起死回生か。』(新潮社)発売に際しての企画らしい。阿川さんいわく「今日は、父親同士の対談集が出るというので、宣伝のために娘同士で対談せよと我々が駆り出されたわけですね。」写真を見ると、斎藤由香さん、北杜夫にそっくりである。
阿川弘之、北杜夫、どちらも強烈。食道楽で、香港旅行の際、往きの飛行機の中で全部で何食食べられるか、何を食べるかの表を作っていたという阿川弘之。かと思えば、とにかく怒りっぱなしで「とめどなき怒りを抑えることができないという、幼児からの性格を直そうという気はまったくないらしい。」北杜夫はといえば、躁病時のエピソードがすごい。躁病になったとたん株に手を出そうとするのを止めるべく、雨戸まで閉めて外出させないようにしていたら、北杜夫、応接間からお隣りの宮脇俊三宅に向かって「宮脇さーん、ぼくは閉じ込められているんです!近所のみなさーん、ぼくを助けてください!」と叫んだり。
父親の奇行(?)を語りつつ「しょうがないなあ」という愛情も感じられて面白い。日本の親子作家(物書き)には父・娘というパターンが多い。森鴎外と森茉莉、幸田露伴と幸田文、太宰治と津島佑子、壇一雄と壇ふみ、吉本隆明と吉本ばなな、江國滋と江國香織などなど。最近では中上健次と中上紀か。父と息子、母と娘、同性同士の場合は距離のとり方などが難しいのだろうか。
夕方、商店街を通り抜けると、道の真ん中で立ち話をしていたおばあさん同士の会話が耳に入る。「だって、ほうれん草の何十倍だもんね。」何の何がほうれん草の何十倍なのか。気になるけれども、確かめる術なし。
|