日々雑感
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2002年02月08日(金) 汽車

「小山さんの部屋には本があつた。決して多くはなかつたけれども、一冊一冊に小山さんの愛情がこもつてゐるやうな感じを受けた。つまり、余計な飾りものの本なぞ無いと云ふことである。この感じは悪くない。」という小沼丹の文章を読んで、確かにその感じは悪くないと思い、本の整理を始める。本棚からはみ出した分はそのあたりに積み上げているので、底のほうから思わぬ本が発掘されたりする。こんなとこにあったのかとか、こんな本も買っていたなとか、手にとって眺め始めると止まらない。

同じ本でも読む時期によって印象が違うし、ピンとこなかったり難しかったりで途中で止まってたものに、ある日思いがけず感動したりする。飾りものの本も確かにあるが、それがいつか愛情のこもった一冊に変わるかもしれないのだ。そういうことを考え始めると、一向に整理は進まない。途中で挫折。

夜、汽車の夢を見る。長距離を走るボックス席タイプの古い汽車だ。窓の外は霧。大きな川を過ぎてゆく。規則正しい汽車の音を聞きながらうとうととしていたら、いつの間にか駅に停まっていた。外に目をやると、一面の砂漠だ。右を向いても左を向いても、地平線までずっと砂漠。「銀河鉄道999」で、砂ばかりの惑星に停車してしまったような感じである。

繰り返し見る夢があるとすれば、自分の場合は汽車の夢がそうかもしれない。もちろん、走っている場所や車両や状況などは違うが、汽車が夢の中の頻出モチーフであることには変わりない。

汽車の持つイメージ。「千と千尋」に出てくる夕暮れの浅瀬を走ってゆく電車。銀河鉄道。映画でも汽車や駅が出てくるものをよく見かける。ならば、そのイメージって何だと言われるとうまく答えられないが、こちらと向こうとを繋ぎ、行き来するものかと漠然と思う(そのままだが)。まだ汽車がない頃は、何がそのイメージを担っていたのだろう。船だろうか。

銀河鉄道999に乗っていたのは、鉄郎とメーテルと車掌さんだけだったか。他には誰もいなかったか。目が覚めたばかりの頭でぼんやり考えるが思い出せず。


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