たまに××したり。
INDEXこれまで。それから。


2006年09月26日(火) 年齢と中身は比例しない。

出勤してすぐに、かおりんが血相変えて動き回っている。

「おはようございます!うららさん」

「おはようございます、何かあったんですか?」

「実はですね、DB(商品部)の○○さんから電話がありまして」

「何のDB?」

「いや、それはどうでもいいというか」

「いや、大事っしょ?何のDBかで話がわかりやすいというか」

「いやいやいや、それはともかく、委託のサンダルの返品が昨日までだったらしくて、今日中にやってくれ、と電話がかかってきたんです」

「ああ、靴のDBなのね。で、今からやるんですか?結構あるんですか?」

「ええ、ちょっと、夕方までには終わらせたいと思うんで、ちょっと裏にこもります。あと、今売り場Yさんひとりなんでよろしくお願いします」

ゆっくりデータを見る暇もなく、売り場に行き、スケジュールも確認せずにYさんとレジを交代する。

今日はかおりんの担当商品のみのセール準備だ。しかも相当な量あるため、手伝う気満々でやってきたあたしではあったが、しょっぱなからそんな状態で、やる気をそがれた。
まあ、緊急なら仕方ない、とレジに入りながらYさんのお手伝いをしていたら、かおりんが戻ってきた。

「ありがとうございました」

「終わったんですか?早かったですね?」

「いえ、まだなんですけど、区切りがいいんで、続きはまたあとでと思いまして」

続きといってもあと1時間もかからない作業のはず。
中途半端にやめるよりは一気に片付けた方がいいに決まってる。

「先に終わらせません?」

「いえ、でも、うららさんに悪いですし。レジの時間終わったら続きやりますから」

はたとここで気付いたのだが、実はこの時間のレジはかおりんだったのだ。
そのことについては先ほど何もお願いされてない、と気付いたとたんに、ぶち切れた。

「あのさ、今日って、セール準備すごくたくさんあるんだよね?Yさんひとりで朝からばたばたしてるよね?いくら急ぎの仕事とは言え、さっさと終わらせないと次がつっかえるよね?それともあたしが手伝うからいいとでも思ってる?悪いけど、あたしは一切手伝わないからね。人のことあてにしないでくれる?そうやって途中で作業止めたら、あっちもこっちも中途半端になるでしょ?それで帰る時間になって作業が全部中途半端になったらどうするわけ?誰かにやってもらうの?それだってあと持っていって送るだけでしょ?さっさと終わらせちゃった方がいいでしょ?発行した伝票だって目障りだから。レジはいいから、鬱陶しいから早く行きなさいよ!」

「はい・・・すみませんでした!」

口をはさむ隙も与えず、言い放つと、かおりんは血相を変えて続きに取り掛かるべく、走っていった。
そもそもその返品の指示だって、とっくに出ていたもので、かおりん自身が見落としていたものなのだ。
きちんと把握していれば、慌ててやる必要もなかったのに。

「あたしはバカは嫌いなんです」

「いや、本当はバカな振りをしてできるのかもしれませんよ」

ニヤニヤしながら言うかおりんに

「バカな振りをして『あたしバカだからできませーん』とか言う人はもっと嫌いだし」

と止めを刺す。

「年上の人って頼りがいがあっていいと思って」

好みのタイプの話でそんなことを言うかおりんに、

「年をとったからって必ずしも頼りがいがあるとは限らないでしょ?あなたみたいに」

身も蓋もなく攻撃してしまったあたしはほんとおとなげない。





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うらら |あばら家足跡恋文

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