ドラマやCMで描かれる男女の関係が、近頃また男性優位にシフトしてきている気がする。なんだか最近、世の女性に元気がない。男のほうがやけに強気なのだ。
「別れてくれ」
男のCMモデルがシレっと吐くそんなセリフに「へえー」なんて思ってしまう。ひと昔前の男は女王様たちに、「アッシー」だあ「メッシー」だあと奴隷のように扱われていたってのに。あの頃は、男の分際で「別れてくれ」なんて口が裂けてもいえない世の中だった。
ちまたの学生さんたちにもそんな雰囲気を感じる。近所の駅に青山学院が引っ越してきたので、電車に乗ると若い人たちの様子を垣間見られたりするのだが、こないだ少しショッキングな場面があった。
男子学生数人のグループに女の子が一人。けっこう美形でおしゃれな子である。なのに彼女は、イケメン青学生たちに終始「取り入って」いた。ボロクソに言われても尻尾を振って仲間に入ろうと頑張る。ありえない。こんなにカワイイのに、どうしてそうも卑屈になるんだ。犬の不幸は見過ごしがたい。
なぜそう感じたかというと、僕自身が「犬タイプ」だからなのだ。一方、僕の彼女は完全な「猫タイプ」。僕はいつも尻尾フリフリなのに、彼女は全く意に介さない。猫ってやつは理解しがたい。
とはいえ、これでもだいぶ慣れてはきた。つれない彼女にも、遊んでほしい時があることに気がついたのだ。普段はなかなか乗ってこないのに、そんな時は自分から電話をかけてきたりする。
でも僕が出掛けるのを渋ったりすると、イカる。女王様じきじきのお誘いなのにとでも思っているのだろうか。電話でも鼻の穴が膨らんでいるのが見える。僕はすごく悪いことをしている気分になる。
こうしていつも僕が追う。経験上、男が追う関係のほうが長持ちする気はするのだが、どうにも腹が立つ。この時代でも僕に限っては、女王様は健在なのである。
そういう意味で僕は、また世の中の流れに乗り遅れているといっていい。
2004年02月15日(日)
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