diary/column “mayuge の視点
INDEXpastnext

リスペクト

 今夜TFMを聞いていたら、久し振りに「ダンス☆マン」が登場。

 言わずと知れた、あの「ダンス☆マン」だ。
 …………。
 万が一知らない人がいたときのために、簡単に説明しよう。

 彼は「ミラーボール星」という惑星からやってきたミラーボール星人で、巨大なアフロ頭にサングラス、もみあげは「逆三」、当然シャツの胸元からは縮れた胸毛が覗いている。

 地球では主に音楽活動を行っている。アメリカのダンス・クラシックス音楽を日本語でコピーするバンドを率いているのだ(ちなみにCDはavexから出ている)。

 その「翻訳」は特種で、聞いたまんまの英語を日本語風に言語化するのを得意としている。直訳や意訳といった翻訳法ではなく、主に「音訳」というスタイルをとっているのだ。例えばこうだ。

 Get down on it. (寝たのね)

 Just the two of us. (じゃあ明日にすれば?)

 Some right, some wrong (将来 その……)
 Sweet nights, sweet songs (作りたい 子孫)
 It's so weak, but so long (実際に 相当)
 It's too tight and too strong (超タイプ 超理想)

 Ba de ya - say do you remember
 (愛には 取説より現場)
 Ba de ya - dancing in September
 (愛には 大事ね接吻は)
 Ba de ya - golden dreams were shiny days
 (愛には 誰でもシャイなんです)

 とまあ、とにかくそのセンスが秀逸なのである。音に合わせるだけでなく、日本語としてもしっかりとストーリー建てされているのだ。

 「君とヤリたい」とか「結婚しよう」などと直接的な物言いをせずに、「将来、その……、作りたい、子孫(照)」というところには、男の哀愁がそこはかとなく漂っているし、「取説より現場」という叫びにはコミュニケーションの極意が見え隠れする。

 四、五年前、僕はその面白さの虜になり、ヴェルファーレでのライブにも数回足を運んだりしていた。これは絶対に流行る。当時そう確信していたのだが、世の中はそうはならなかった。時代が着いてこられなかったのだと言っておこう。というか言わしてくれ。

 そのダンス☆マンの声が、久し振りにラジオから聞こえたきたわけである。それにしてもこの男、相変わらず面白い。インタビュアに質問されてこんな風に答えるのだ。

「ええ、やっぱりダンスクラシックスのアーティストたちを『リスペクト』してるっていうか、これは人によっては『パクッてる』という人もいるんですけど、でも僕らは今回の作品でも存分に『リスペクト』してるわけなんですよね、ええ」

 なるほど。そういえば日本のミュージシャンは、この『リスペクト』とか『影響を受ける』という言葉をよく使う。そうか、『パクる』って意味だったのか。音訳、つまりパクることこそがレゾンデートルともいえるダンス☆マンは、冗談めかしてこの『リスペクト』という言葉を使っていた。でも僕はこれを、涼しい顔して『リスペクト』している他のミュージシャンたちへの揶揄なのだと受け止めた。

 ダンス☆マン、やるじゃん。

2004年05月21日(金)

読んだら押して↓
エンピツユニオン

My追加
▲TOPINDEXpastnext