みょうの日記
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ゴンを焼いてきた。時間的にちょうど丸一日経った頃。 そういえば、明日はちょうどゴンに命の期限が切られて一週間だ。
朝は曇っていたけれど日も差していた。焼き場までは入れ物にいれず、私がバスタオルに包んで抱いていった。 マンションを出たところで、ガチャがゴンの見送りに来てくれた。側まで来て、小さく挨拶をし・・・。ガチャは晩年ゴンが唯一自分から近づけた子だった。 鼻チューを2,3度しただろうか。
ゴンは死んでから一日中、両手足を思い切り伸ばして横たわっていたはずなのに、車に乗って抱いているうちにだんだん手足を曲げていき、焼き場につく頃には箱にぴったり収まるように手足を縮めていた。本当に最期まで気を使う奴だ。
焼き場の重い扉の向こうに姿が消えていく最期の瞬間まで、ゴンは私の顔をじっと見続けていた。私もゴンを見続けていた。扉が閉まって「ゴォッ」という音が聞こえた瞬間、涙が止まらなくなった。 ゴンが焼ける。焼けてしまう。 でも、どうすることもできなかった。可愛いゴンの重みは、永遠に失われてしまった。可愛い耳も目も鼻も口も・・・可愛い尻尾も何もかも。 ゴンはもうどこにもいなくなってしまった。 待合室で私は声をあげて泣いてしまった。 辛い・・・というよりキツイ。キツイというより痛い。 ゴンがいなくなって痛い。息もつけない。ただ痛い。
ぜんぶが終わって、骨になって戻ってきたゴンを見てまた泣いた。
焼き場の方が骨の説明をしてくれた。 「これとこれとこれが尻尾ですよ。この子は尻尾が短かったんですね」 「これは大たい骨、こっちは第二頚椎、骨盤、これは足です」 「この子の骨はずいぶんしっかりしてますね。あんまりみないですよ、こんなに残ってる子は」 そして、 「これが喉仏。ああ、ずいぶん綺麗に残ってますね。ここが仏様の頭、こうして手を合わせているように見えるでしょ? 人も猫も一緒ですね」 喉仏が綺麗に残っているという事は、ゴンはやっぱり猫の神様にいい子の認定を受けたのだろう。少し安堵の涙が流れた。 焼き場の方は最後にもう一度 「とてもしっかりした骨の子でしたね」 と言った。 だから私も言った。 「性格もしっかりしてたんです」
四角い箱の中に収められたゴンを胸に抱いて、私たち家族は泣きながら帰路についた。
マンションに着くと、ガチャがまた出迎えてくれた。
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