月の輪通信 日々の想い
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2003年05月15日(木) じゅげむじゅげむ

この間、アプコを後ろに載せて車で走っていたら、なにやらもぞもぞと怪しげな声。

カーラジオのボリュームを絞って、よ〜く聞いていると、アプコが鼻歌の様に抑揚をつけて、

「じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ・・・」

とつぶやいている。

最近夕方にやっている子供番組で、毎日のように聞いているらしく、

「・・・ちょうきゅうめいのちょうすけ」

までよどみなく、舌っ足らずな発音で見事に覚えている。

「わ、アプコ、それ、なぁに?面白いね、もう一回言って。」

私が茶々をいれたら、独り言を聞かれて決まり悪かったのか、アプコはご機嫌が悪くなって黙
ってしまった。



アプコの好きなおままごと。

この頃は、ただ、ご飯を作って食べさせるだけではなくて、お人形さん達の家庭の事情や生活
環境も複雑になって、面白い。

一人遊びしているアプコの声を聞き耳をたてて聞いていると、思わずふきだしてしまうことがあ
る。

「父さん早く帰ってきてくれたらいいのに・・・せっかくスパゲッティ、チンしたのにねぇ」

「○○ちゃん、早く鞄、かたづけてね。今日はお手紙ないの?」

・・・・どこかで聞いたことのあるセリフ。

あはは、アプコはよく聞いてるね。

「ほんとだ、アプコ。君のおかばん、まだ玄関におきっぱなしだよ。」

わたしが、ちょっと口をはさんだら、

「もう!オカアチャンは入ったらダメ。」

と、すごい勢いで居間の戸を閉められてしまった。



アプコが独り言を言う。

アプコが一人遊びをする。

アプコが一人でお絵かきをする。

幼児特有の集中力で、アプコはぐっと「一人の世界」に没入する。

がちゃがちゃざわめく兄弟も、家事に忙しいオカアチャンも乱入してこないアプコの世界。

その濃厚なファンタジーの時間に、アプコの幼い心は深く深く耕されているような気がする。



耳について離れないCMソングのように、

「じゅげむじゅげむ。」を繰り返すのは、お口の快感。

お人形さん達と作る家庭を切り盛りしていくのは、心の快感。

唇をかみしめて、好みのクレヨンで画用紙を埋めていくのは、目と手の快感。

幼いアプコは自分の快感に、ためらうことなく素直に没入する。

幼児のその豊かな快楽が、アプコの世界の一番太い柱となる。



「もう!オカアチャン、みないでよ!」

とっておきのお菓子のつまみ食いを見つかったかのように、アプコは決まりわるくて、すぐ怒
る。

「そりゃ、悪かったね。」

母は、大抵しっぽを巻いて退散するけど、ホントはちょっとのぞいてみたいんだよぅ。

小さなアプコの豊かな世界。






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