月の輪通信 日々の想い
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「さあ、今日は何しようか?」
久しぶりに誰も予定の入っていない休日。
ざわざわと台風の名残の風が、山の木々を揺らしています。
ちょっとお寝坊したので、これから外出するのも面倒だし、お天気も、まだちょっと頼りない。
「ま、キコンカイな一日と言うことで・・・」
父さんがのんびりとコーヒーを入れた。
「キコンカイ」
一年に一回か二回、父さんがぽろっと漏らす不思議な言葉。
「どんな漢字、書くのよ?」
「さぁ・・・。キコンカイじゃない?」
「カタカナなの?」
「ようわからん。」
「方言?」
「さぁ・・・。ひいばあちゃんとかは時々使うよ。」
「で、どういう意味?」
「のんびりと、これといったことなく、たらたらと・・・・」
「ふ〜ん」
「大過なく、無事にすごす」というような意味合いらしいのだが、どうもすっきり心に落ちない。
響きは熟語っぽいのに、漢字が全く思い浮かばないのも気持ちが悪い。
「気根(魂?)快」かな?
鐘が鳴ります、キンコンカン〜♪みたいで、さっぱり気持ちの良い響きだけれど、「〜怪」という 字をあてると、なんだか不可解。
「キコンカイな一日」といわれて、はて、今日の日をどう過ごそうかと、考え込んでしまった。
子ども達はPCのゲームを楽しみ、父さん母さんは本を読んだり、やりかけの内職仕事を片づ けたり・・・
お昼は子供らの作ったホットプレート焼きそば。
夕方からビデオを借りにいって、ちょっとだけ手の込んだ晩ご飯を食べる。
本当に「大過なく」すぎていく平和な休日。
当たり前のようで、ここ数週間、忙しく走り回っていた我が家にとっては貴重なのんびり休日だ った。
「キコンカイ」
父さんがこの言葉を漏らすのは本当に年に一、二回。
実際、我が家の休日は子供らの剣道やおでかけ、父さんの仕事や陶芸教室でなかなか揃って 「おうちでタラタラ」にはならない。
「な〜んもせんかったなぁ。」
そんな日もいい。
「キコンカイ」にいこう。
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