月の輪通信 日々の想い
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2003年06月02日(月) キコンカイ 再び

お休みの明けた月曜日。

「キコンカイ」という呪文が、まだ私の頭の隅で、コトコトと音を立てている。

ふとしたときに気付く、慣れないイヤリングの痛みのように、しっくりと心に収まらない、でも不
快ではないあの違和感。

「キコンカイ」という明るい響きのなかに、日常に小窓を開けるキーワードの予感がある。



「『キコンカイ』ってどういう意味なんですか。」

今朝、私は義父に聞いてみた。

義父は最近、この「日々の想い」をまとめてプリントアウトしたものを、時々読んで下さってい
る。子ども達の事や、つまらない日常の一コマを面白がって読んで下さる。

5月分の「日々の想い」のファイルを届けたついでに、地域の歴史や故事に詳しい義父に尋ね
てみる。

「キコンカイ」と言う言葉は、「〜にすごす」というような使い方の他に、

「あの子は、いつもニコニコしてキコンカイな子やなぁ。」とか、

「キコンカイにしてるなぁ。」

とか、主に、同等以下の人に対する評価の言葉によく使うという。

「心地よい」とか、「気持ちが良い」「朗らか」の様なニュアンスを含んでいるらしい。

昔からひいばあちゃんなどは普通に使っていたという。



「気散じ」と言う言葉もある。

これも私にとっては、お嫁に来てから耳にするようになった言葉の一つ。

機嫌良く一人遊びをして満足している子どもや、お客様の間おとなしくお留守番している子ども
達のことをほめて下さるときなどに「気散じなお子やね」という風に使われる。

字面だけ見ると、「集中力がない」とか「飽きっぽい」というイメージがあって、なかなかストンと
心に落ちない言葉でもあるのだけれど、決してマイナス評価の言葉ではなくて、子どもに関して
はかなりレベルの高いほめ言葉のような気がする。

「『気散じ』と『キコンカイ』って似てます?」

「う〜ん、近いけど、『キコンカイ』の方がずっといい。会うとこっちがパワーをもらうような気持ち
のいい人に使うことばやね。」



キコンカイ、キコンカイ・・・・・

父さんがお休みの朝にかけた呪文が、すこしづつほどけて、意外な全貌を明らかにし始めた。

「心地よくゆるゆると、大過なく過ごす休日」と「機嫌良く、気持ちのいい人」

先週、「40才」という年齢を迎え、うろたえ、揺れた私に、ぽんと投げ出された新しい言葉。

「ちょうどな、今のアンタが『キコンカイ』」

帰りしな、義父が最後に笑顔で付け加えた。

言葉探しの旅の果てに、義父から頂いたもったいないお褒めの言葉。

がんばれ、不惑の女。

今日も一日、キコンカイで行こう!




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