月の輪通信 日々の想い
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昨日、髪を切りに行きました。
かなり思いっきり。
ずぼらな私はいつも冬中、髪を伸ばして、梅雨時になると、ばっさりと1年分の髪を切る。
今年もプールの授業を前にアプコの髪を切り、アユコを美容院に連れていったら、居ても立っ てもいられなくなって、晴れて断髪式となりました。
父さんの個展の日程が近づいてきました。
夜昼かまわず工房と自宅を行ったり来たり・・・。
そのたびに、釉薬で水玉模様になったエプロンや土にまみれたジーンズが脱ぎ捨てて行かれ ます。
「随分すすけてきたねぇ、男前が台無しだぁ。」
締め切りが近づくにつれ、肩こり、腰痛が顔を出し、埃で汚れためがねの奥の目は寝不足でし ょぼしょぼし始めて・・・
「個展前の芸術家の緊張感あふれる日々」というと聞こえはいいけど、ただただ時間との戦 い、体力勝負だなぁといつもの事ながら、思います。
「今日は弁当箱にご飯詰めてくれんかなぁ。」
歩いても1分の自宅まで、昼食に帰る時間すら惜しんで窯のそばを離れなくなる父さん。
「はいはい」とアプコの幼稚園弁当の残りのおかずを適当に詰め、海苔弁にして手渡す。
試験勉強で徹夜するからと言って、夜食の手配ばかりに熱心な子どものようで笑ってしまうが、 そこまで追いつめられた気分も必要なのかもしれないなぁ。
そんな風だから、いつも家族が揃って食べる夕食も父さんは上の空。
首から下げたストップウォッチにせかされて窯の温度を見に行ったり、どっと押し寄せる眠気 で、某お味噌のCMのように「オトウチャン寝てしもうたがな・・・」になったり・・・
厳しい仕事だなぁと思う。
個展前は毎度のことなので、子ども達もピリピリした雰囲気を察して、父さんには逆らわない。
子どもなりに父さんの仕事に対する真剣さには感じる所もあるのだろう。
いつも家にいて、父さんと3食一緒に食べる私は、父さんがすぐ近くの工房に居るのに、うちで 一人で食べる昼食は、なんだかつまらない。
あり合わせの物を一人でうだうだっと食べると昼ご飯はものの2,3,分で終わってしまう。
子どもの居ないお昼休み、子どものこと、仕事のこと、ご近所の事など、とりとめのない話をし ながら食べる昼ご飯は、それなりに大事な夫婦の時間だったのかな。
「よし、髪、切ってこよう!」
昼食を早く済ませて手持ちぶさたな私は、立ち上がった。
背中まであった髪をばっさりとショートカットにしてみたのだけれど、その晩、父さんは
顔を合わせても私の髪型の事には触れなかった。
「美容院いってくるね。」
とは言っておいたので、知らないワケでもないのだけれど・・・
なぁんだ、つまらない。
「あれ、短くなったね。」
ぐらい言ってくれても良さそうなもんでしょ。
今朝になって、
「髪、切ったの、知ってるよね。」
と聞いたら、
「うん、気付いてたけど・・・ごめん、若く見えるよ、よく似合う。」
それは昨日のうちに言って頂戴よ。
おカマさんの顔色ばっかりみてないでさ。
私が髪を切ったのは、父さんに「こっち向いてよ」と言いたかったから。
・・・かもしれないと気付いて一人で照れてる今日の私。
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