月の輪通信 日々の想い
目次|過去|未来
夏休み初日。
17日、11才になったアユコの二日遅れのバースデイパーティー。
アユコの誕生会は数年前から、友達4,5人を呼んで、自分たちでお昼ご飯を調理して楽しん でもらっている。
サンドイッチ大会、ホットケーキ大会と来て、今年はたこ焼き大会。
さすがに、大阪の少女達。
「たこ焼き、焼ける人!」と聞くと、みんなが「は〜い!」
これは頼もしい。
5年生ともなると、女の子達は家庭科の授業やおうちの手伝いで、そこそこ包丁も使えるように なっている。
「おばちゃん先生は、見てるだけ・・・。」
と、腕組みして女の子達のお料理を高見の見物。
慣れた手つきで、どんどんみじん切りをこなす子。
包丁を引くことが出来なくて、上から力任せの押し切りで、タコを刻もうとする子。
手よりお口の方が器用で、仲間を仕切るばかりの子。
それぞれの子どもの性格やおうちでの調理の経験などいろんな物が見えてくる。
昨年とほとんど同じメンバーなので、一年間での子ども達の成長ぶりもうかがえて面白い。
「たこ焼きの生地をながして、具を入れたら、すぐに触っちゃダメ。すこーし外側が焼けるまで 待ってね。」
そんなこと、常識よとばかり、少女らは一人一本づつ竹串を持ち、小さなたこ焼き器に群がっ てくるくると、たこ焼きを返していく。
定番のタコの他にコーンやちくわ、ウインナーなどの具も用意したので、女の子達はキャアキャ ア言いながらいろんな種類のたこ焼きをこしらえる。
やっぱり大阪の女の子達だなぁ。
ひとしきり、タコやきでお腹いっぱいになったらお友達が届けてくれたケーキの出番。
お約束の「ケーキふーっ」のあと、さあ、ケーキカット。
「私が切りたい!」と包丁を手にしたアユコ。
じゃあ、好きに切っていいよ。
「いくつに切ろう?」
友達と兄弟の分を入れて、9切れ。
おかあさんの分まで入れると10切れ。
「切りにくかったら、みんなでスプーンを持って、よーいどんで、丸ごと食べてもいいよ。」
おばちゃん先生が余計な茶々を入れる。
「先に上に乗ってる果物を全部よけてから切るといいよ。」と助言してくれる子もいて、きれいな デコレーションのフルーツを全部別のお皿に積み上げる。
あれこれみんなで盛り上がった後、アユコがエイヤッと包丁を入れた。
まず「Y」の字に切れ目を入れ、5等分を作ってから、きれいな10等分。
「わぁ、アユコ、すごい!」
見事な10等分に、皆の歓声があがった。
大人でも結構難しいのに、わが娘ながらあっぱれ。
我が家の子ども達は小さなころから、半分こに強い。
一つの物を兄弟で分け合う機会はしょっちゅうあるので、小さいアプコまで「分ける」事にはとて も敏感だ。
意地悪いオカアチャンは、3等分4等分などという簡単な分割ではつまらないと、
「4人に3種類のマックシェイク」とか、
「3人に5個の菓子パン」とか高度な課題を科してきた。
必ずしも「等分」ではなくて、「アプコは小さいから少な目」とか、「オニイの好物だから多い目」と か、微妙な調整が加わる。
「一個づつ取って、残りを○等分」とか、「替わりばんこに一口づつ食べて、ぐるぐるまわしてい く。」というような高等技術も習得した。
子ども達にとって「分ける」ということは、算数の知識以上に、人間関係や世渡りの知恵を学ぶ 大事な機会だなぁと思う。
「もうちょっとたくさん欲しいけど、妹に残してやろう。」
「僕はよく働いたから、みんなより多めにもらってもいいはずだ。」
兄弟のなかでの自分の位置を、心の中で微妙に推し量る大事な訓練になっているのだ。
アユコのケーキ10等分の妙技に喝采した女の子達はほとんど二人兄弟。
それほど複雑な分割は必要にならない。
「わ、すごい!」と最初にアユコの10等分を誉めたのは、同じく4人姉妹の2番目の女の子。
みんなが納得のいく分け方の難かしさをよく知っているんだな。
うんうん、兄弟が多いってイイコトだ。
|