月の輪通信 日々の想い
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2003年08月07日(木) 一足早く初盆

今年は、お盆より一足先にお里帰り。

6日早朝から子ども達を車に詰め込み、須磨の海で海水浴のあと、ビーチサンダルのまま加
古川の実家になだれ込む。

「ひいばあちゃんの初盆のお参り」と称して、いつも通りの夏のお騒がせ。

日頃、父と母が静かに暮らす家に、騒々しい4人の子らが、ざわざわと突風を送り込む。



3月にひいばあちゃんが亡くなって、介護という肩の荷を降ろして、父と母の生活はその軽や
かさにようやくなじんできているようだった。

ひいばあちゃんが長年寝起きしていた部屋には新しいお仏壇。妙に広く感じられる。

そのすーっと風の通る感じが、父と母の二人の生活の変化を物語っているようで、ひいばあち
ゃんの居ない実家に私自身、ようやく心慣れてきた気がする。



長い間一緒に暮らしていた家族が亡くなって、時間とともにその人の不在になじんでいく過程
は穏やかに流れる。

買い物の途中、「あ、これ、おばあちゃん、好きだったよね。」と手にするお菓子。

勝手口の横に置かれたままの散歩用の手押し車。

靴箱の奥に残されたままのリハビリシューズ。

少しづつ生活の場から姿を消していくひいばあちゃんの「生」の痕跡。

それでもときおり、ほのかな懐かしさを含んで心に浮かぶひいばあちゃんの面影。

人が生きて、命尽きて、そして誰かの心に「思い出」として再び存在し始めると言うことの静か
な実感は、「生きる」ということの当たり前の結末として、今日の私の「生」に勇気を与えてくれる
気がする。



ふと気付くと、ひいばあちゃんのお仏壇の前に、子ども用のクッキーの小袋が一つ。

買ってもらったばかりのおやつのうちの一つをアプコがこっそりお供えしていたようだ。

お盆やお正月にしか顔を合わせることもなく、「奥のお部屋で静かに寝起きしていた人」くらい
の認識しかないものかと思っていたけれど、幼いアプコの心にもひいばあちゃんの面影はちゃ
んと根っこをおろしていたんだな。






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