月の輪通信 日々の想い
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だらだらと蒸し暑い日。
夕方ともなると、めいっぱい遊んでくたびれた子ども達も、空腹と軽い疲労で、なんとなくご機嫌 が悪くなったり、ぐずぐず言ったり、ごろごろ寝そべったり・・・
ドヨ〜ンとした空気がなんとなく居心地悪くて、ちょっとイライラ・・・・
一日の汗で、くたっと薄汚れたアプコが、夕食の支度をする私の足下にまとわりつく。
「オカアチャ〜ン、なんか眠〜い。お腹空いた〜」
はいはい、もうすぐ晩ご飯よ。テレビでも見ておいで。
邪険にすると、余計に甘えた声で絡みつくアプコ。
まいったなぁ。
「じゃあね、アプコ。テーブルの上にみんなのお箸、並べてきてよ。」
がちゃがちゃと6人分のお箸をアプコに渡す。
そして、アプコが食卓にお箸を並べている間に、冷たい牛乳をコップにひとくち。
少しのお砂糖を加えてからからとかき混ぜる。
「アプコ、牛乳、のむ?」
コップを受け取って、一口、口に含んだアプコがアレレという顔をする。
「オカアチャン、なんか、甘い。お砂糖入れた?」
「さあね、どうかしらん。」
思いつきのいたずらが思惑通りの成功で、なんか可笑しい。アプコもオカアチャンのいたずら に気付いて、ニッと笑う。
くたびれたときの甘い物って、妙においしくって、ほっとするけど、子どもにとっても思い掛けな い甘味は心を溶かすパワーがあるんだな。
ほんのひとつまみのお砂糖が、だらだらとくたびれた幼児の不機嫌にふわっと柔らかな微笑み を運ぶ。
夕食前にお砂糖入りミルクなんて、ちょっと邪道だけれど、それでも、幼い子の気分をからっと 一転させる一匙の魔法は、ちょっとお疲れのオカアチャンのイライラをも一緒に溶かしてくれた ような気がする。
「ホントにちょっと甘いよ。お砂糖入れたんでしょ?」
空っぽのコップを返すアプコの笑顔が、「本日もあと一息!」のオカアチャンを少〜し元気づけ てくれたようだ。
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