月の輪通信 日々の想い
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パラパラとウィルスメールらしきものが入る。
送信者名や件名に思い当たらないもの、不審な添付ファイルのついた物は速攻で削除する。
削除済みファイルも空にする。
「support」とか「info」とかもっともらしい送信者名のものもある。
「How are you」とか、「Hi!」とか親しげな件名のものもある。
怪しいと判っていながら、どなたかHPを見て下さった初めての方からのメールかも・・・とか、何 か貴重なインフォメーションかも・・・とか、気になってしばし削除する手が止まることがある。
セキュリティーソフトはまめに更新してある。
だから、仮に好奇心に負けて私がそんな怪しいメールを開いたところで、セキュリティーソフト のおどろおどろしい警告画面がでて肝を冷やすだけで、ウィルスの方は勝手に処理されて、P Cに害を及ぼすことはないだろうとは思っている。
「あ、またきた。」とクリップ付きの怪メールは「悪さをするメール」と即座に判断するくせに、「で も、開けてみたら何がかいてあるんだろ・・・」とパンドラの箱の誘惑にしばし揺れる。
「あほやなぁ。」と削除したものの、やはり気になるので、削除済みファイルも空にする。
私は怖いもの見たさの誘惑には弱いのだ。
少し前、いつも読みにいっている日記書きさんのサイトのトップに、見慣れぬバナーが張ってあ った。
「肝試し」
(何が起こっても知りませんよ、ドキドキしたい人だけクリックして下さい。なにがおこっても責任 は持てませんよ。)
そんな脅し文句がついている。
ふだん、その人のサイトに立ち寄っていて、悪意のある人とは思えなかったので、しばし迷った 後、クリックしてみた。
(ホントにいいんですね、何があっても知りませんよ)
また脅し文句。
「注文の多い料理店」のように、幾枚かの扉を開けたら、突然、
「このボタンをクリックするとPC内の全てのファイルが消滅します。」とウィンドウズの見慣れた エラーメッセージの青いダイアログボックス。
「え!やられた!」
ブラウザのいろいろな所をクリックして後戻りを試みたが、動けない。冷や汗のでる思いで、意 を決して、ぶちっと電源を落としてしまった。
しばらくして、こわごわ起動してみたら、何のことはない、いつものデスクトップが何事もなく開い た。
悪いいたずらに引っかかったものである。
PCに詳しい人なら、「おしゃれないたずら」でふんふんと笑って済ませる肝試しなのだろうが、 プログラミングもセキュリティも理解しない万年初心者ユーザーにとっては文字通り肝を冷やす いたずらであった。
いやぁな思いだけが残り、私はそのサイトを「お気に入り」や「マイ日記」から外してしまった。
抗議のメッセージを送ろうかとも思ったが大人げないので無視することにした。
しばらくして、肝試しの正体が気になってそのサイトを尋ねてみると「肝試し」のバナーは取り外 され、管理人さんのコメントが載せてあった。
実は「肝試し」はどこかのサイトへの手の込んだリンクバナーだったようだ。
「面白いサイトだから紹介したいと思って載せたのだが、クレームが多かったので、削除した。 趣旨はちゃんとのせておいたし、ちゃんと読めば悪意がないことは判ったはず。不本意だ」
というようなコメントだった。
はぁはぁ、確かにね。
怖い思いをしたくないなら、近寄らなければよかったのよね。
その通りだけれど、やっぱり後味は悪い。
もっと言えば、品の悪いいたずらであった。
私はそのサイトを訪れることをやめた。
「出会い系サイト」というやつがある。
「お金のない子、○○円でどう?」
というようなメッセージをどこやらに掲示する。それを見た女の子が、応答して「出会い」が成立 する。
よく言われる何かの調査では、中高生のかなりの割合の女の子達が、興味本位で、そういっ たものとコンタクトを取ったことがあるという。
これだけ、イヤな事件が報道されている昨今だ。女の子達だってそうしたメッセージに関わるこ とがどんな危険をはらんでいるかを知らない訳でもあるまい。
それでも、遊びのノリで、ついつい引っかかってしまう子たちがいるのは、「怖いもの見たさ」と いうパンドラ以来の人間の困った性によるものかもしれない。
近頃では、そうした売春行為を依頼するようなメッセージを掲げた者は、それだけで(交渉が成 立しなくても)罪を問われることになったという。
「イヤなら見なけりゃ、いいじゃないか」
「危ないと知ってて、手を出すヤツは、危険な目に遭っても当然。」
その通り。
君子危うきに近寄らず。
されど、君子にあらざる愚かな我が身。
怖いもの見たさの誘惑に負けて、ウィルスメールの一つも開けてしまいたくなるではないか。
そんな弱みにつけ込んだいたずらは、たとえ無害なものであっても、いつまでも不快なままであ る。
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