月の輪通信 日々の想い
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2003年11月04日(火) 記念日の絵本

昨日、作品展で登園したアプコは今日は代休。久しぶりにアプコと二人で七宝焼の教室へ行
く。

父さんは、陶芸教室の生徒さん達と日帰りの親睦旅行。

ちなみに、今日、11月4日は私たち夫婦の結婚記念日でもある。



お互いの存在が空気になりつつある十数回目の結婚記念日ゆえ、ことさらの感慨もなく別々
の一日を過ごす。

アプコを連れて、久しぶりの街歩き。百貨店の地下でアプコの好物の明石焼きを食べ、大きな
本屋さんで児童書を見て歩く。

そこで、かねてから買おうかどうしようか、なんとなく気になっていた自分用の絵本を買う。

安野光雅「旅の絵本 �后�

�気�ら�犬泙任禄叔�くらい前までに買いそろえてあって、少し前に久しぶりに続刊が刊行され
たのだ。

 結婚前なら、さほどの躊躇もなくさらりと買っていた千数百円の絵本だが、けちん坊主婦の今
となっては、「子供らのメシの足しにもならない」自分用の絵本を購入するのはなんとなく気詰ま
りで、なんとなくそのままにしていた。

その事を父さんに話したら、

「よしよし、そんな物で良かったら、買っておいで」

と、太っ腹なところを見せ、どこかの頂き物の図書券をポンとくれた。

「あはは、図書券か・・・」

とささやかな太っ腹を笑ったけれど、考えてみれば日々のおネギや大根に消えることのない図
書券でのプレゼントは、理にかなっている。

「それでは・・・」と、晴れて、「旅の絵本 �后廚�買い上げ。

嬉しい。



帰り道、アプコと二人で買ったばかりの絵本を拡げる。

スペインの街のにぎわいや、生活の匂いを細密な水彩画で描いた字のない絵本。

その中におとぎ話の1シーンや歴史上の人物などが隠し絵のように織り込まれていて、大人で
も何時間も眺めて楽しむことが出来る。

絵本の中では一人の旅人の姿がどのページにも隠されていて、アプコと二人でその「青い人」
探しをしながらページをめくっていくのは楽しくて、帰りの車中の時間はあっという間に過ぎてし
まった。



そういえば、始めての出産で入院したとき、「産後は活字は読んじゃダメ」の教えに従って、独
身の頃に買って大事にしていた「旅の絵本」を病室に持ち込んだ。

はじめての出産で男の子を産み、幸福に充実した思いで眺めた安野ワールド。

ちょうど様子を見に来て下さった若い看護婦さんが安野光雅ファンで、「わあ、その絵本、私も
持ってる!」と妙に盛り上がったのも懐かしい。

そのころは私もまだまだ若くて、十数年後に4人目の子どもと二人で5巻目の絵本を眺めるこ
とになるなんて思っても見なかったのだけれど・・・



うちに帰ると、さっそくアプコがアユコに新しい絵本を見せて、二人で「青い人」探しの続きを始
めた。

二人の娘が、肩を寄せ合って一つの絵本をのぞき込んでいる様はかわいい。

これも、父さんとの出会いから始まった家族の歴史のひとつなんだなぁ・・と感慨しきり。



そういえば、今日行って来た七宝焼の先生は、私たちの結婚式の仲人をつとめて下さったF先
生の奥様。

高名な陶磁研究家でいらしたF先生はとうにお亡くなりになったが、85歳になられる奥様はい
まだとてもお元気で、都会の真ん中で幾人かの生徒に七宝を教え、美術館巡りや小旅行を楽
しみ、はつらつと過ごしておられる。

「七宝はおうちのお仕事とも関連が深いから、きっとあなたのプラスになるわ。」と、私に七宝を
習い始めるきっかけを下さったのもこの奥様だ。

縁あって、奥様に七宝を教えていただけるようになり、その技術だけでなく、心豊かな人生の先
輩としての教えもいっぱい頂いている。

「よい結婚式でしたね。」

今日の記念日のことを口にしたら、奥様はつい昨日の事のように懐かしそうにおっしゃってくだ
さった。

おかげで、結婚の日の晴れ晴れとした秋の青空を思い出し、若き日の張りつめた気持ちを思
いだす。

まことに、ささやかで静かな結婚記念日となった。



私と父さんの「旅の絵本」

出産子育ての「疾風怒濤」の一山を超え、ようやく中休みで呼吸を整えつつある昨日今日。

次の続編が刊行されるのはいつの事だろう。

真新しい絵本のすがすがしい色彩を楽しんで、今年の記念日を過ごした。








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