ボクハウソツキ -偽りとテレコミの日々-
DiaryINDEX|past|will
最後の日だ。
時間が経つにつれ、二人とも口数が少なくなってくる チェックインの時間が近づいてくるのを 忘れるように、考えないように。
だけどずっとそれを続けていられるほど 子供でもないし、無責任でもない
もう、空港に行かなくちゃね
うん
ミミの大きな瞳にはもう潤み始めている その目にキスをすると涙の味がした。
足掛け4日間も一緒に居たのに ミミとは一緒に居たくなくなったりしたことが ただの一度もなかった。これは珍しいことだ。
帰りたくない
そんな無理と判っていることを口にする。 キミには待っているおちびさん達がいるじゃないか ボクにも…
発着する機体が照明に照らされて、宙を舞う鯨のように見える 停めたクルマの狭い車内で何度も唇を重ねた カーオーディオの7セグメント数字が8:00を表示していた
 空港で。最後の姿
北へ帰ったミミとはしばらくの間、メールと電話が続いた。 2ヶ月も経った頃だろうか、
彼氏ができたの
嬉しそうに話すミミの言葉に よかったね。そう答えることしかできなかった。 ミミの言葉には真実とは思えない部分が多かったが そこを追求してどうなるってものでもない どのみちひとつのストーリーは終わったのだ。
(今は沈んだ気持ちだけど、10日もすればまた元気に仕込んでいるさ) 自分に言い聞かせるようにして 霞む視界の中、ゆっくりと受話器を置いた。
|