ボクハウソツキ  -偽りとテレコミの日々-
DiaryINDEXpastwill


2003年03月23日(日) 北の国から(7)

最後の日だ。

時間が経つにつれ、二人とも口数が少なくなってくる
チェックインの時間が近づいてくるのを
忘れるように、考えないように。

だけどずっとそれを続けていられるほど
子供でもないし、無責任でもない


もう、空港に行かなくちゃね

うん

ミミの大きな瞳にはもう潤み始めている
その目にキスをすると涙の味がした。

足掛け4日間も一緒に居たのに
ミミとは一緒に居たくなくなったりしたことが
ただの一度もなかった。これは珍しいことだ。

帰りたくない

そんな無理と判っていることを口にする。
キミには待っているおちびさん達がいるじゃないか
ボクにも…

発着する機体が照明に照らされて、宙を舞う鯨のように見える
停めたクルマの狭い車内で何度も唇を重ねた
カーオーディオの7セグメント数字が8:00を表示していた


空港で。最後の姿


北へ帰ったミミとはしばらくの間、メールと電話が続いた。
2ヶ月も経った頃だろうか、

彼氏ができたの

嬉しそうに話すミミの言葉に
よかったね。そう答えることしかできなかった。
ミミの言葉には真実とは思えない部分が多かったが
そこを追求してどうなるってものでもない
どのみちひとつのストーリーは終わったのだ。

(今は沈んだ気持ちだけど、10日もすればまた元気に仕込んでいるさ)
自分に言い聞かせるようにして
霞む視界の中、ゆっくりと受話器を置いた。


シバ |MAIL

My追加
エンピツ