おひるのあと、クマネズミは また、てがみをかいたひとを さがしに でかけました。だれかが じぶんを たいせつに おもってくれているって、なんだかいいきもちです。 そのことを かんがえていると、だんだんと せかいじゅうのひとが、 じぶんを たいせつに おもってくれているような きもちになるのです。 クマネズミは、こんどは コウモリに あいに いくことにしました。
「だれだい」と、コウモリのこえが きこえました。「なにかよう?」 「ぼくだよ、クマネズミだよ、こんにちは」 「さようなら、いそがしいんだ」と、コウモリは いいました。 「ぼくだよ、ともだちの クマネズミだよ。きみが げんきか どうか、 それから、ぼくに てがみを かいたか どうか、 しりたくって やってきたんだ」
「てがみなんか かかないよ。だれも ぼくに てがみを かいてくれないんだもの、ぼくだって かくものか。 それに、きみが ほんとうに ぼくの ともだちなら、 もっと はやく あいにきてくれたって よかったじゃないか かえってくれよ」
コウモリは、ほんとうは さびしかったのです。 その しょうこに、パジャマを きたまんまでした。
そのばん、クマネズミは とぼとぼと いえに かえりました。 キッチンに すわって、ずっと しょんぼり していました。 でもそれは、じぶんのことではなく、ともだちのことが きになっていたからです。 「かわいそうな コウモリくん。おこったふうに いってたけど、 コウモリくんの いったことは ほんとうだ。ぼくが ほんとうの ともだちなら、もっとはやく あいに いくべきだったんだ。きょうだって ぼくは じぶんのために コウモリくんに あいに いったんだもの」
クマネズミは、だいじな てがみを もういちど よんでみました。 そして おもったのです。 「このてがみを だれが かいてくれたのか、そのことは もう いいんだ ぼくは、ほんとうの ともだちが どんなものなのか、ぜんぜん わかっていなかったんだ。 でも、ぼくは あしたから かわるぞ」
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