水曜日の深夜、携帯メールで少しやりとりする。
CD-R焼いたけどいる?
うん。いる。
ほどなく、彼のメッセが立ち上がった。 まだ仕事場らしい。
俺は酒を買って帰る。
いいなぁ。酒。
いいだろ。
うん。いいなぁ。
CD-R、いつでも取りに寄ってください。
あい。じゃぁ、後で行くかも。ダメ?
ん?来るなら来てもいいよ。
ウメッシュ買っといて。小さいの。
プレーンでいいのか?
プレーンでいい。
もう深夜12時を回ってる。もう木曜日。 さっとシャワーを浴びて、出かける用意をする。 出かけようと思って、ふと思い出した。
アレを持ってって見せなきゃ!
つい最近、吉原炎上という邦画をテレビでやっていて、 あたしはそれに感化されて、オークションで紅い襦袢を手に入れた。 届いたそれは、目の覚めるような赤。 赤と言うより緋色だ。
紅い襦袢を取りに戻り、車のエンジンをかける。 この時間なら、15分で着くはず。 きっちり15分後、あたしは彼の部屋をノックする。 まだ寝てはいなかったみたい。 そだね、お昼寝したんだもんね。一緒に。
さっそく紅い襦袢を広げて見せる。
ねぇ、真っ赤でしょ?
うむ。真っ赤だねぇ。
嬉しいあたしは、さっそく着てみせる。
どう?
赤いねぇ。しかし、売られて来た遊女の哀愁なんてぇのがどこにもねーな。
やっぱり?
だって、欲しかったんだもん。嬉しいんだもん。 暫くすると、masayaはお風呂に入るからと言って、 あたしはひとり取り残される。
紅い襦袢にあわせて、唇を紅く染める。 髪を束ねてみる。 うーん。いいぢゃん。 ひとりで、ほくそ笑む。
お風呂から上がって来たmasayaにあたしは得意気に見せてみる。 彼はデジカメで何枚か画像を撮る。
が、しかし。 あまりにも嬉しそうな笑顔。
ああ、あたしの思ってたイメージとちがぁう。
うむ。すごい笑ってるぞ。哀愁なんか出てないよなぁ。
masayaはいろんな角度から、テキトーにシャッターを切る。 あたしは、いろいろ工夫して哀愁が出るかなぁとかやってみる。 はぁ、楽しい。
ひとしきり遊んで、もう終わりって、紅い襦袢を脱いで着て来た服に着替えた。 丁寧に畳む。届いてから何度も羽織ってみたので 畳み方ももう覚えた。 襦袢を畳み終わって、masayaの隣に座る。
キス。 ベッドに横になる彼があたしを引っ張りあげる。 彼の手はワンピースを裾から捲り上げて行く。
せっかく着たのに、脱がせるの?
ん?脱がせるよ。
自分は脱がないの?
脱ぐよ。
裸になってじゃれあうのが好きだ。 暖かくて、幸せで、嬉しくて。
なんか今日は1日こうやってる気がするよ。
うん、そうだね。昼間も一緒に寝たしね。
耳を噛む。 乳首を噛む。 肩を噛む。 舌が跳ねる。 唇があたしの身体のいろんな所で踊る。
反応を楽しんでるのか、動けないように押さえ付けられて 彼はあたしを愛撫する。 あたしはそうされて、また感じる。 大きく脚を開かれて、そこにも彼の舌が唇が這い回る。 閉じようとすると、また開かれる。
あ。イヤだぁ。
恥ずかしいと思うと余計に感じる。 だって、もうすごく濡れてるもの。見ないで。
昼間のセックスもいつになく感じて、すごいと思ったのに、 それ以上の快感。 普段はめったにバックからはしないのに、 後ろから貫かれて、あたしは快感でおかしくなりそうになる。
枕を抱き締めて、耐える。 何に耐えるんだろう。わからない。 大きく広げられた両脚。 押さえ付けられた身体。 それ以上はないだろうと思う程の深い所に 彼の存在を感じる。 汗と喘ぎ声。抑える事はできない。
すごくいっぱい入ってるよ。気持ちいいよ。
…あたしも…イイ…ああっ…。
騎乗位でおかしくなる程突き上げられて あたしは動けなくなる。 彼が言う。
少し休もうか?
……。
返事はできない。もっとシタイ、もっと感じたい。身体がそう言ってる。
さっきね、すごかったの。すごく感じたの。
そうだね。すごく奥まで入ってたよ。もう一度、したい?
masayaは?
入れたいよ。
…イレテホシイ。
動かなくても感じる。 あたしの中が彼でいっぱいになる。 身体が震える。もうだめ。おかしくなる。
正常位で、腰を高くして激しく突かれると 何がなんだかわからないくらい感じる。 両脚の震えが止まらない。
アカンの、ダメ。イヤ。
否定の言葉を口走りながら、あたしはイク。 動きが激しくなって、彼の精液があたしの身体に放たれる。
彼が抜いたとたん、あたしの中から液体が溢れ出して シーツに染みを作った。
ああっ、、。ごめんなさい。
あたしはそんなに濡れやすい方ではないと自分では思うのに。 こんなになるのは珍しいのに。 彼とセックスするといつもこうなってしまう。
終わった後、抱き締められて、キスして。 このまま眠ってしまいたい。 裸のままで。
そんな事は出来ない。 だって、もう明け方だもの。 余韻の残る身体に衣服を身につけて、あたしは帰り支度をする。
立ち上がれないので、抱きかかえて起こして貰って、 彼の部屋を出る。 少し歩くと、あっ。また。
どしたの?
何か液体が出てきました。
気をつけてね。
あい。帰ったらネットに繋ぐ。
俺は襦袢画像をあげとくよ。
さよならのキスをして、あたしは車に乗り込んだ。 午前3時44分。
紅い襦袢は、masayaの部屋に置いて来た。 だって、また撮ってもらうんだもの。 今度はきっちり、哀愁を漂わせよう。
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