優しい=青い部屋=あたしとmasayaの日々。

2003年12月30日(火) 2003 Last date

午前7時。
暑さで目覚めたみたいだ。
寝たのはきっと午前3時頃のはず。

相変わらず彼の腕はあたしの頭の下にあった。

腕枕大王だなぁ。

そんなことを思う。
今まで長いこと一緒に暮らした男は、明け方になると、必ずあたしを腕枕から放り出した。鬱血して痛かったんでしょうね。明け方放り出されて、あたしはまた強制的に男の腕をとって、頭を乗せていた。

今のところ、彼には放り出されたことはないように思う。
ただ単に眠りが深いだけかもしれないけど、気持ちよく眠っている時に放り出されるのは辛いものだ。


目覚めたあたしはトイレに立つ。
睡眠導入剤はいつもきっかり4時間で目が覚める。
今日も4時間。

古いヒーターが室温を上げている。
少し弱く設定して、またベッドに戻った。


次に目覚めたのは、彼の携帯のアラームだった。午前9時。
当然彼は起きない。あたしもぐずぐずと彼にまとわりつく。

お約束のように唇で彼を弄んでみたり、乗ってもイイ?と聞いてみて、跨って動いてみたりした。やはり起きない。起きないけど、あたしは動く。

寝ている女に無理矢理乗ってる男の気持ちが少しわかる。
とりあえず、自分がイクことだけが目的なのです。
1泊で1回ってなんとなく淋しいし。
夜は夜で満足するんだけど、もう一度朝にシタイとあたしはいつも思うみたいだ。

昨夜の余韻ですぐに果てるので、お手軽です。



意地悪をして、全体重をかけると、あたしの身体の下で寝ている彼の眉間に縦皺が走った。

「ううううううむ。」

「重ひ?てかさ、もう起きる時間ですよ。」

「はぁ…。」

あたしはシャワーを浴びに立つ。
シャワーを浴びて、途中まで化粧をして、彼の今日の用事に間に合わないといけないので、ホテルをチェックアウトした。






車の中で、変なCDを聴きながら、他愛もない事を話す。
高速道路は年末だけどスムーズに流れている。
彼の車がスピードを上げて、1台の車を追い越した。
走行車線を走っていると、追い越した車にまた追い越された。

と同時にその後ろから覆面パトカーが!

彼が笑う。


「いやぁ。いい年末だよ。怪しいと思ったんだよ。後ろにいたからさぁ。でも1人しか乗ってなかったんだよねぇ。」

「覆面?」

「うむ。助手席リクライニングだったしね。怪しいと思って前の車を抜いたんだよ。警察も年末だからがんばってるねぇ。いやぁ。楽しいねぇ。」

「良い年末なのね。」


窓の外を見ていると、雪化粧をした富士山がとっても綺麗に見えた。

「うわぁ!富士山だよ、富士山だよ!雪だよ。こないだ見た時は雪なかったからね。やっぱり雪がないとダメだよね。」

子供のようにはしゃいで、あたしは携帯カメラでシャッターチャンスを狙う。
流れるように走っているから、なかなかうまく撮れない。

「午後からはまた富士山にでも行ってみますか?」

彼がそう言った。



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「駅で降ろしますから、終わるまでテキトーに時間をつぶしておいてください。」

「ん?どこの駅?」

「○○。」

「駅から遠いとこなの?」

「遠くもないが近くもない。スーパーとかあるからテキトーにしといておくれ。」

「じゃぁ電話を下さい。」


彼の用事が済むまで、あたしはひとりで時間をつぶさなきゃならない。
駅前で車を降りる。小さな駅だ。
駅のロータリーも小さい。
スーパーと電器店があるビルがあったので、そこで時間をつぶす。


…どれくらい時間かかるんだろう?

予想が付かないので、スーパーの一階から四階までゆっくりと時間をかけて回った。
それが終わると今度は電器店を見て回った。
冷蔵庫の新しいのが欲しいだとか、PCのプリンターが欲しいだとかデジカメが欲しいだとかそんなことを考えながら歩いて回る。

まだ連絡はない。

駅ビルから外へ出ようとテクテク歩いていくと、ほんとに何にもなかった。
あまりにも何もないので、反対側を歩いていくと、普通の建物に見えたところがパチンコ屋だった。時間をつぶすには良いかもしれない。

2000円のカードを買って、しばらく遊んでやっぱり負けた。リーチはかかるけど、まったく揃う気配がないし。これ以上突っ込んでも一緒だと思って、そこを後にする。
スーパーのベンチに座ってると、彼から電話があった。うまくとれなくて、折り返してかけると、もう終わったらしい。慌てて、外へ出る。

「思ったより早かったね。」

「うむ。そだね。」

「だいじょぶなの?」

「ん?だいじょぶだよ。さて、飯ですな。とりあえず富士の方へでも行ってみやふ。」


来た時は高速だったけど、こんどは一般道で、引き返す。
BGMは”一発屋”とかいう変なCD。メリージェーンつのだ☆ひろの話をしたり、円ひろしも一発屋だねと語ってみたり。話題にはことかかない。

富士山に行く前に飯だ飯だとステーキハウスへ連れてってもらった。

ミディアムでヒレステーキ150g。
レアでサーロイン300g。
お腹がいっぱいです。




そして、今年二度目の富士山。
登って行くと、どんどん残っている雪が多くなって、休憩所手前のスノーランドではスキーをしてる子供達が見えた。

せっかく上がって来たのに、休憩所からは全く見えなかった。残念。

まだ時間はたっぷりある。
どこへ行こうかと相談して、前回いった温泉に行く事にした。
せっかく行ったのに、年末なのでお休み。これも残念。


行くところがなくなったので、トイざラスにでも行こうと、車を走らせる。
あたしはプチブライスという小さな人形を買う。ここもそんなに時間がつぶせる場所じゃぁないね。


「さて。どうしようか?」

「えっと。まだ時間はあるけど」

「こんなとこじゃぁ、~*Yuuちゃんにくわへて貰う事も出来ないなぁ。」

「え?」


ちょっとドキっとした。


車に乗ってまた少し走ると、昨夜泊まったホテルの近くだった。あ、こんなとこまで戻ってたのね。

「えっとー。ホテル行って休憩します。」

「はぁ。風呂ですな。」

「あい。風呂です。」

「そかそか。」

「だってくわへて貰うとか言うからぁ。」

「そかそか。くわへたひのね。」

「くわへ納めます。」



どこにしようかと考えずに、目についたホテルに入る。
そして、そこは昨夜泊まったホテルの隣だった。






24時間以内にホテルのはしごをするのは初めて。

部屋は小さくて、ベッドだけでいっぱいで、ソフトSMとか書いてあって、壁にX型の張りつけ台があった。でもそれだけで、その他の装飾はくまのぷーさんという、まことにミスマッチな部屋。

彼が用事の電話をしている間に、あたしはお風呂にお湯を溜める。
昨夜のホテルにはバスバブルがなかった。今日のホテルにはちゃぁんと備え付けてあった。

勢いよくお湯を落とすと、お風呂が泡でいっぱいになる。


「どこらへんがSMなんでしょうね?」

「うむ。張りつけ台でしょう。これがソフトなのかもだ。」


泡風呂に入る。わーい泡だぁ泡だぁ。気持ちいいねぇ。
泡風呂で戯れて、特殊椅子の使い方をふたりで考察して、実践して、マヌケっぽい。

「ねへ。ソープとか行った事ってないの?」

「なひよ。」

「じゃぁ使い方わからないんだよねえ。」

「なんか秘密の使い方があるかもだよ。」

「ネットで検索しないとね。」



ベッドで戯れる。
あたしは思う存分に唇と舌で彼を愛撫して、また意地悪な事を言われて、それでも濡れてしまう。

「濡れてるだろ?」

「濡れてないよ。」

「入れてみようかなぁ…。すんなり入りますが。」

「おかしいですね。」

「弄ばれたりすると濡れるかもです。」



あたしが望んでいるようにしてくれる。
身体のどこかを噛まれると痛くて涙が出そうになるけれど、それが感じる。
嫌な事をされているという状況に濡れる。

どうにでもしてほしいと。
もっと辱めてしてほしいと。
無理矢理にでも犯して欲しいと。
恥ずかしい姿を見て欲しいと。
いやらしい言葉でいじめられたいと。
あたしはいつも思っているのかもしれない。


はじめて経験すること。
それはかって、あたしが他の男には激しく拒否した事だった。
なぜか、この日はあたしは拒否しなかった。
むしろあたしから望んだのかもしれない。

変わる。
変化する。
確実にあたしの中が変化している。
怖いという想いと未知への興味と
痛みと恐怖といろんな感覚が混ざりあっていた。


今年最後のセックスは痛くて怖くて、それでいて不思議な快感で
あたしはあたし自身のこの1年の変化に自分で驚いていた。
不思議なセックスだった。




あっと言う間に時間は過ぎて、外に出るともう暗かった。
新幹線の指定席ととらないと。

駅までの間に、さっきのセックスを反芻する。
思い返してみるととても恥ずかしかった。

駅に着いて、指定席を検索するとすべて満席。
年末30日の夜だものね。仕方ないかも。
それでも、ハードなセックスで疲れたあたしは座って帰りたかった。
奮発して、グリーン車。


…いいよね。今年1年がんばったんだから。

自分に言い訳しながら、えいっと買ってしまった。



一緒に何か食べたかったけど、駅の近くには店もなかったし、時間もなかった。
仕方なく、コンビニで車内で食べる軽食と飲み物を調達して、あたしは駅まで送ってもらう。

駅前は見送りの車は迎えの車でいっぱいだった。
慌ただしい別れ。


「また来るね。」

「あい。」

「また来てね。」

「あい。」

「ありがとう。」

「いへいへ。」


助手席から降りる時に彼が言う。

「はぁい。お疲れ様でしたぁ。じゃぁ。」

「じゃね。気をつけて。」


彼の車が出るのを見送って、あたしは改札に向かって歩く。
不思議と、切ない淋しさがなかった。


初めてのグリーン車から彼にメールを送る。
お礼の言葉。


やっぱりレスはない。


そだね。いつもそうだよねぇ。別れた後は放置が習慣。


フっと笑って、あたしはリクライニングを倒して目を閉じる。
あれだけいつも眠れないあたしが、この日はすぅっと眠る事ができた。

きっと小さなシアワセなんだろうと思う。



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今年1年ありがと。
今年最後のデートありがと。
日本ブレイク工業の社歌のCDもありがと。
やんこまりたいもありがと。
英字新聞で包んでくれた脱力グッズもありがと。

来年もテキトーによろしくです。

犬ですから。
いつでも尻尾振って待機してます。


2003/12/31 ~*Yuu


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~*Yuu
エンピツ