優しい=青い部屋=あたしとmasayaの日々。

2004年11月20日(土) 切ない気分。#2

焼き肉を食べながら、話す。

最近のお仕事の話とか、たあいもないことばかりだ。
あたしはあまり食べない。
彼もそんなにたくさん食べる方ではないと思う。

タン塩と、カルビと、ハラミを1人前づつ。
野菜の盛り合わせ。焼きタコ。生ビールと梅酒サワー。

ひさしぶりに飲んだあたしは、顔が赤いはず。

「さて、行きますか。」

生ビールの大を飲んだのに顔色ひとつ変わっていない。
強いんだよね。アルコール。


コンビニに寄って、また缶ビールを2缶買っている。
あたしはマンゴーピーチサワーというのを買って、タバコの予備を買った。


適当なホテルに車を入れる。
というか、もう何度か来ている場所なので、全部みなくても一通りの雰囲気はわかってる。この近辺はそんなに新しいラブホテルは、ない。
どこに泊まっても同じようなものだとも思う。

部屋は少し狭い。
ベッドは電動でリクライニングするベッドだった。
変なブラックライトがシーツを青く照らしていた。

彼は、早速、リクライニングベッドを起こして、ケーブルテレビを観る。
プロレス?をやっていた。

「何それ?タイガーマスク?」

「ちっがうよ。タイガースマスクだよ。」

「えっ?何?タイガースなの?」

「そうだよ。どっからどうみてもタイガースだろ。」

確かに、タイガーマスクと違って、ユニフォームのようなものを着ているし。それが終わったら、こんどはとぼけた犬のカブリモノをしたレスラーが出てきた。名前は「ポチ」らしい。相変わらず、こういう格闘モノとか好きだよね。


「お風呂入れる?」

「ん。くわへていただこう。」

「なんでよう。」

「なんでもいいから、ほぉらくわえろ。」

従ってしまうあたしもあたしだ。
入れたいなぁと思いつつ、テレビを観る彼の足の間に顔を埋める。
下と唇を使っていると、自分で濡れてくるのがわかった。
口の中で彼のモノがどんどん堅くなっていくのがわかって、余計に入れたくなる。
途中で休憩しようと、くちびるを話すと、すぐに彼が言う。

「まぢめにしなひと、ダメだろ。」

真面目にやってるってば。
ヘビの生殺し状態。そうしているうちに彼がもうイクよと言った。
少し迷ったけど、ま、いいか思ったので、くわえたままうなずいた。

一瞬大きくなって、喉の奥の方ではじける感じがする。
そのまま飲み込む。最近はあたしも慣れて来たので、だいぶ楽になった。
そんなことに慣れても仕方ないんだけど…。
ひさしぶりに飲む彼の精液はちょっと甘い気がした。

「…なんか甘い気がしたよ。」

「そか?」

「糖尿?」

会話がなんかおかしい。笑。



お風呂にバスバブルを入れてお湯を勢いよく落とすと、泡風呂になる。
知らない土地を動くのは、とても疲れる。
浴槽に浸かると、ジェットバスの泡と、バスバブルの泡で、ふぅっと溜息をつく。
缶ビールを片手に彼が入ってくる。

何を話したんだろう。
なんだかいろんな話をしてるんだけど、いつもくだらない会話ばかりで、忘れてしまう。
ジェットバスをぶくぶくさせながら向かい合って話す。こういう時間は嫌いではない。
「忙しい」だとか、最近の仕事の話だとか。あたしも逢っていなかった間だの事を話す。

お風呂から上がって、ソファに座ってタバコを吸う。
ふとテーブルの上を見ると、彼のキーホルダー。
見慣れない鍵。
テープでマンション名と部屋の号数が貼ってあった。
彼は寮で生活している。

…どこの鍵?

あたしは。
彼の私生活に立ち入らないし、立ち入れない。
彼がこの地で誰とどう関わろうがあたしには関係がないこと。
でも、動揺する。

あたしは、見て見ぬふりをする。
気持ちが少しざわざわする。

ベッドでテレビを観ていると、彼がさりげなくそのキーをバッグに仕舞った。
そういう仕草にも気付いてしまう自分が嫌だ。


あたしはどうしてこんなにフェラが好きなんだろうなと、考えながら、またくわえてみる。口の中で反応するのがわかる。そう、途中までは順調だった。
さっきの鍵が頭にちらつく。
ふと気付くと、あたし今日ぜんぜん何もされていない。
命令されて、あたしが一方的に愛撫しているだけ。

『何もしてもらってない』

なんか…ひどいんじゃない?
思いついて、こう言った。

「あのさ。こういう時に思い切り噛み切ったらすっごい血とか出るんだろうね。」

みるみる彼のモノが萎えた。

「…そんなことを言うからだよ。」

だって言いたかったんだもの。
ていうか、一瞬、噛みきってやろうかと思ったんだもの。

「うーむ。わかってるんだけど、なんだか難しいよ。」

その後、どんな愛撫をしても、中途半端なままだった。

「何よう!それ。」

「はぁ…役立たずで申し訳ない。…あんなこと言うからなぁ…。」

あたしのせいですか?
ひとしきり文句を言ってみた。何よ何よ、あたしイッテない。

「俺は先ほどすっきりしてしまったからなぁ。」

「明日朝、ぜーったいスルからね。入れるからねっ!」

そんな会話をして、でももう時間も遅かったので、寝ようかと布団をかける。
頭の中ではいろんな思考がぐるぐるする。
わざとしているんだろうか?
わざとかもしれない、でもわざとでないかもしれない。
確かに彼は疲れているような気もする。

いろいろと考えながらも腕枕をしてもらった。
ほんの、3秒ほどで寝息が聞こえてきた。どうしようもなく腹が立つし、なんかすっごい自分が情けない。

いろいろね、わかってるんだよ。あたしも。
忙しい中、来てくれたし。待ち合わせの駅までは、結構な距離もある。
あの時間に到着するには、いつもより早い時間に仕事も終えてくれたはず。

あたしは、彼に必要以上に求める事は出来ない。それも自分自身わかってるはず。

寝息を立てて、きっと寝てるんだろう彼に向かって、小さな声で話しかける。
聞いてなくてもいいやと思いながら、何か伝えたいと思った。

「…あのさ。いつもごめんね。」

「うん?」

「いつも来ちゃってごめんね。」

「いへいへ。」

「いつも逢ってくれてありがとね。」

「いへいへ。うむ。」

「あのさぁ、別にこういうのだけとかでもないから。」

「あい。」


うまく伝わらないんだけど。
…あたしは一体何が言いたいのだろう。


寝入った彼の横からすりぬけて、ソファで睡眠導入剤と精神安定剤を飲んだ。

子供のように眠る彼を見ながら、どうしてあたしは彼に会いに来るんだろうと考える。考えても確かな答えは出ない。

彼の横にまた滑り込む。
無意識だろう彼は、時折あたしをクイと引き寄せる。

つーっと涙が出た。
彼は相変わらずくぅくぅと寝息を立てている。



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薬のせいで、ぐっすり眠った。
目覚めて時計を見ると、もうチェックアウト寸前の時間。
今から慌てても仕方がない。

起きて、セックスする。
相変わらず、彼は寝起きが悪い。寝起きの良い彼を今まで見た事がない。
手抜きだなぁと思いつつ、彼の身体の上に跨ると久しぶりのせいか、入れる角度がいまいちわからなかった。うわぁ。角度がわかんないや。とひとり焦ってしまう。

下から突き上げられて、徐々に入ってくる感覚。
…快感。そして、やはり少し痛い。
ものすごく感じてはいるのだけど、ひさしぶりすぎて痛いという感じも強い。
痛いのか感じてるのか、わからない。
短時間の間に、小さな波が何度かあって、そして、イク。

「ふぅ。ね、イカナイ?」

「うん?イッテ欲しいのか?」

「当たり前じゃん。」

正常位ですこし突かれて、それからお願いして、後ろから入れて貰った。
角度で感じ方が違う。あたしはやはり騎乗位が一番感じるらしい。バックも好きなんだけど…。
ピルを飲んでいるので、いつも中でイッテ貰う。
放出するときの動きと、終わった後の流れ出る感じが好き。

ふぅ、と溜息をついていると、彼がお風呂のお湯を張りにベッドから立った。
昨夜も思ったのだが、少し痩せたみたいだ。
顔と、身体が全体的に。そして、すこぉしだけ、老けた。
相変わらず童顔なんだけど、なんだか、少し老けた気がする。
「腰が痛いんだよ。」とベッドの上で仰向けになって、左右に身体をひねってパキパキ音をさせてる彼は滑稽に見える。いつもそれするよね。

お風呂に入って用意を済ませると、もう昼前だ。

ひさびさのセックスで、あたしは子宮が痛い。


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「~*Yuuちゃんが嫌だとかなんとか言っても、明日は田舎のスパゲティを食べに行こう。」

そういえばそんなことを言っていた。
田舎のスパゲティ?そうだよ太いんだよ。

「もしかして、スパゲティに向かってますか?」

「そうだよ。」

昨夜から、BGMはマツケンサンバ。

「この前奏の間だ、まだ松平 健は出て来てないのね?」

「だから前奏が長いんだよ。まだ周りの人が踊ってるとこだよ。」

昨日からマツケンサンバばかり聞いている気がする。


駐車場に車を停めて、テクテクと歩く彼の後ろをトコトコと着いていく。
身長が違うということは、ストライドも違うので、同じ速度で歩こうと思うと、小走りになってしまう。当然、待ってくれたりはしないし、合わせてもくれない。というか、地元なので、知ってる人に見られたらマズイんだろうなとも思った。

店の前には、とんでもなく古くさいサンプルが並んでいた。

「え?ここですか?」

「そうだよ。」

レトロな装飾。いつの時代の内装なんだろう?
店内は結構混んでいた。地元ではわりに人気がある店らしい。
だって表からみたら、営業してるかしてないかわからないようなお店。
それなのに、こんなにお客が入ってるなんて。

「俺は○○にしようかなぁ。」

「えっと。あたしはナポリタンで。」

しばらく待つと、オーダーしたスパゲティが運ばれて来た。


見たことがないモノだった。こんなに太いスパゲティは食べた事がない。
最近は細いのが主流だし、麺の硬さもアルデンテが普通なのに、そこのお店のは独特だった。美味しいのか、美味しくないのか食べていながら良くわからない。
粉チーズをたっぷりかけて、タバスコをふりかけて食べた。
スパゲティが太いので、ものすごくお腹が張る。最後の一口がどうしても食べられなかった。でも、周りをみると、みんなそのスパゲティにプラスして、ピザだとかライスだとかのセットを頼んでいるようだった。…そんなに食べられるんだろうか。

「ねー。今日ね、あたしお誕生日スペシャルなのよ。おめでとうは?」

「あい。おめでとう。」

「あい。ありがとう。」

少し遅いけど、あたしが今回来たのは、自分へのお誕生日のイベントの意味もあった。どうしても「おめでとう」と言って貰いたかった。もうめでたい歳でもないと言われても、それでも言って貰いたかった。
ごちそうさまをして、また車で移動した。ドトールでコーヒーを飲む。


「午後からどうする?」

「うんと。特に考えてはないけど。」

「富士の方にでも行くか?」

「うーん。どうしよう。お買い物出来るとことかないのかなぁ。マイカルとかダイヤモンドとか。」

「そんなものはないが、大きなホームセンターならあるぞ。」

「どれくらい大きい?コーナンより大きい?」

「そんなもんじゃぁないよ。」

「じゃぁさ、そこでお誕生日のプレゼント買ってよ。」

「良いよ。持って帰れるんなら。

車でずぅっと走る。
途中で富士山の上の方だけが見えた。慌ててあたしは携帯のカメラを起動させる。
あたふたと画像を撮ってると、彼が言った。

「これですよ。」

反対側を見ると、とてつもなく大きなホームセンター。
コーナンどころじゃぁないや。建築資材だとか園芸用品だとか、これでもかというくらいに売ってる。大きすぎてもう何を見てよいのやら、わからない。

「あ。後ろのランプ切れてるから買おう。ちょっと見てくる。」

「あたし犬のとこ見てる。」

犬もたくさんいた。
ちょっと大きくなった柴犬が19800円だ。
これ欲しいなぁ。と思ってみたけど、そんなの新幹線で連れて帰れない。
触れるので、ひとしきり遊んで、他の犬もみて、それから小動物のコーナーへ。

ハムスターを見ると、キンクマはお昼寝中。
隣のデグーは尻尾に傷がありで、1000円格安で2匹。
うわあ。デグー1000円なら欲しいなぁ。と思ってみたけど、これも連れて帰れない。

彼が戻ってきたので、ちょっとだけホームセンターを見たけど、欲しいモノは、例えば電動ポットであるとか、例えば土鍋であるとか、トイレットペーパーが198円だとか、そんなものばかり目についてしまう。ここがうちの近所なら、きっといっぱい買い込んでいる事だろう。そして、お誕生日プレゼントに土鍋もどうかと思ったので、それは我慢した。でも土鍋は欲しい。

次はどこに行くのだろう?
車は、あたしが在来線で来た道のりを逆方向に走っているみたいだ。
昨日停車した小さな駅。その隣の駅。本当に何もないところだなと思う。
踏切待ち。電車が通過する。
通過する電車は3両編成だった。
大阪育ちのあたしは、きっとこういう場所では暮らせないんだろう。

次は有名な寺に連れていってくれるらしい。
移動時間は結構長い。
ずぅっと車の中。
でも何かしら話しているので、楽しい。

せっかく連れていってもらった有名な大きな寺は、たまたま大きな法要の日で、本地てゃ一般見学は出来ませんとのこと。仕方なく、お寺の周りを一周回った。裏からチラっとみただけだけど、本堂はものすごく大きくてものすごく立派だった。

「じゃぁ、次は牧場にでも行ってみますか?」

「牧場?」

「うん。そこのナンとカレーがうまいんだよ。」

「なんで牧場でナンとカレーなの?牧場ならソフトクリームとか食べたいなぁ。」

「コテーリしたやつですね。」

「そうです。ウマーいやつです。」

「でも俺的にはナンとカレーがオススメなんだよ。」

「どっちに向かってるの?」

「富士山に向かってるんだよ。」

「けっこうな上り坂だね。」

「ていうか、もうここが富士山だよ。」


ずぅっと登っていくと、綺麗な道路に出る。
【↑新5合目】という標識を見ると、ああ、富士山なんだなと実感する。
【白糸の滝】という標識を見て、中学の時に修学旅行で来た事を思い出した。

牧場に着くと、牧場前には、お土産ショップがある。
ミルク製品やチーズ製品がいっぱい。
その一角に、オススメのインド人の店があった。そこを指さして彼が言う。

「これがオススメなんだよ。」

「…食べる?」

「後で。」

お土産を見ると、欲しいものはいっぱいあった。
クリームチーズとミルクチョコとミルクアメをお土産に買った。

買い物が終わったので、カレーとナンを頼む。
インド人の人がオーダーを聞いてからナンを焼いてくれる。
出来上がったナンはとても大きくふくらんでいて、美味しそう。

指でちぎって野菜カレーを付けて食べると、ふんわりと甘かった。

「美味しい。」

「うむ。俺はここのナンが一番ウマーだと思うけどね。」

「うん。美味しいね。」

「まぁ牧場に来て、ナンとカレーを指名買いするのもどうかと思うが。」

カレーナンを食べて、彼はビールを飲んだ。富士山の麓は少し寒いかったので、車から上着を取って来て羽織る。今度はソフトクリームを食べるのです。

牧場のソフトクリームはこってりと甘く、脂肪分が高いのか、溶けて流れることもない。
美味しいよと、差し出すと、彼も一口食べて、「甘っ」な顔をした。「コテーリですね。」「あい。コテーリですね。」

ソフトクリームを1個食べきれなかった。美味しいんだけどね。

「さて、次はどうしますか?焼きそばも食べられないかもだなぁ。」

「あたしは食べられるよ♪」



車の中から、もう雲に隠れて見えない富士山を見る。

「ねへ。気候が良くなったら富士山連れてって。何度も来てるけど5合目も行ってないよう。」

「良いよ。」

「車でどこまで行けるの?」

「5合目だよ。」

「ちゃんと歩く靴で来るから。春ごろかなぁ。」

「夏くらひだろ。」

「酸素とか吸うやついる?」

「いらんよ。そんなもん。」

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焼きそばの街まで行って、焼きそばを食べる事にした。なんか、食べてばっかり。
目当ての焼きそば屋?さんがまだ午後5時からだったので、時刻は午後5時前。もう1軒知ってる所があると言って向かってみたが、そこもまだやっていない。
ガックリと諦めかけてたら、焼きそばのオレンジ色ののぼりが見えた。

「あー。あそこやってる。」

「早く言って下さい。立て直すのが難しいです。」

通り過ぎる時に言ったので、駐車場に入れる為に、ぐるっと迂回した。
駐車場に車を停めて、焼きそば屋さんへむかった。

大にしようか普通にしようかと悩んだけど、結局大とビールを頼む。

「まだビール飲むの?」

「当たり前だろ。先にビール下さい。」

「そんなのなくなるでしょー。」

「なくなったらまた買うんだよ。」

焼きそばを待つ間、タバコを吸って、お話をする。
「ねへねへ、この画像若いよねぇ。」「ん?あー。若かったね。」「老けたよね。」「うむ。お仕事をちゃんとしてるからね。」

携帯の昔の画像を見てそんなことを話した。
まだ大阪に居た頃の画像をあたしは携帯に入れている。完全保存版。
まだ逢う前に貰った画像で、あたしはその画像を見て、彼に会う事にしたのです。こういうのを後生大事に持ち歩いてるあたしって、ほんとバカみたいだなぁ…。

焼きそばは、大阪のものとはまったく違う味がした。
もう食べられないと言っていた彼も普通に半分食べた。麺も蒸し麺で、少し堅いけど、ソースも独特で、美味しい。
富士山の湧き水というのをひしゃくでコップにすくって飲む。
大阪の水のようにカルキの匂いなんてしない。

「小さい頃からさー、神社で手を洗って水飲むのが普通だと思ってたんだよ。」

「えー。そんなの飲まないよう。うがいはしても飲まないよ。」

「だからどこでも飲めると思ってたんだよ。」

焼きそばを食べ終えて、車に戻った。
もう空は真っ暗。そろそろだな…。そろそろ駅まで送って貰わないと。
一番近い新幹線の駅まで送って貰う。
ちょうど、中途半端な場所。こだましか停まらない。

車の中で、新幹線を検索する。あたしが検索したら、だいぶ先の新幹線しかでなかったけど、彼が検索したらちゃんと出た。

送って貰う時は、いつも淋しい。
今回はいろんな事を考えてしまったので、余計に。

切ない思いはあたしにしかない。そんなことはわかっている。
彼にとってのあたしは「ない存在」。

それでも、あたしはあたしの中の逢いたいを満たす為に、逢いに行ってしまう。


「逢いたい」という欲求は、他の男ではなぜ満たされないんだろう。
冷たんだか、優しいんだか、相変わらずよくわからない。
きっとあたしはもういろんな事に気付いているんだろう。
それも見て見ないふりをしている。
彼に逢うと楽しい。いろんな場所に連れていってくれる。
知らない事をいっぱい教えてくれる。
たくさんの知らない話。いっぱいいっぱい。

それだけじゃない。それだけじゃないんだけど…。
そこから先を言うことは、求めること、あたしにはできない。


「ありがとう。」

「いへいへ。」

「たまには大阪にも来てね。」

「あい。」

「お疲れ様。」

「はぁい、お疲れ様。」

新幹線の中から送ったメールには、相変わらず返事はない。
切ない溜息をふぅとついてみる。

まだ、あたしは好きなのかな…。
それは、一体どういう好きなんだろう。



外はもう真っ暗。
車窓には、ガラにもなく、切ない気分に浸るあたしがいた。




 < past  INDEX  will>


~*Yuu
エンピツ