すこし歩くと開けた場所があり、船から持ってきたグローブとボールで早速キャッチボールをはじめた。青く広がった空に白球が舞った。よほど珍しい光景なのか、現地の人の輪が僕達を取り囲んだ。そのなかにいた少年にグローブを差し出し、一緒にやろうと促したが、恥ずかしがりながら父親のうしろに隠れた。猛暑のなかで行ったので、30分ほどで皆クタクタになった。丘の上にある店でコーラを飲み干した瞬間、皆の瞳は少年そのものだった。