おひさまの日記
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2004年03月10日(水) やっぱり悲しかったんだ

アンナを保育園に送って戻ってくると、
マンションのお掃除のおばさんがいた。
挨拶をして階段を上ろうとすると、おばさんが言った。
「奥さん、車買い替えたんだ。
 前の車の方が奥さんに似合ってたのに」

私はギクッとした。
おばさん、それは触れちゃいけない話題だ。
「色々あって、買い替えなくちゃならなくて。
 私も残念だったんですけど」
そう言って、私は足早に立ち去ろうとした。

すると、おばさんはさらに付け加えた。
「本当にねぇ。
 もったいないよ、今のは似合わないよ。
 前のがよかったのにねぇ」

私は言葉に詰まって、
会釈だけして家に入ってしまった。

胸の奥の方から、ふつふつと悲しみがわき上がってきた。
私はソファーに倒れ込むと、うわーん!と声をあげて泣いた。
涙が後から後から溢れてきた。

私はようやくわかった。
私、こんなに悲しかったんだ、って。

金曜日にバイバイするカプチーノを見るのが辛くて、
遠くの来客用駐車場に停めたままにしてある。
MOVEが納車になってから、一度も見ていないし、触れていない。
そして、このままバイバイしようと思っていた。

昔、実家で、ミッキーという雑種のオス犬を飼ってたんだけど、
私が高校生になった頃に病気になった彼の余命はいくばくもなかった。
それからは、ミッキーを見るのが辛くて、
私は、散歩もしなくなり、エサもあげなくなり、遊んでもやらなくなった。
そばを通ってすり寄られても、ものすごく冷たい態度で足蹴にした。
その少し後、ミッキーは死んだ。
私は泣かなかった。

それから1か月くらい後かな、
部屋の掃除をしていたら、ミッキーの写真が出てきた。
私は崩れるように泣いた。
泣いて、泣いて、壊れそうだった。

そんなことを思い出した。

私が遠くの駐車場に停めたカプチーノは、まるでミッキーみたいだった。
好きだから、大切だから、離れたくないから、お別れが辛くて、
だからこそ、もう自分の世界から閉め出してしまいたい、そんな気持ち。
好きだったことも、大切だったことも、離れたくないことも、
みんなみんな忘れてしまいたい、そんな気持ち。
忘れないと、苦しくて耐えられないから、私は感情を殺した。

でも、私は今日泣いた。
泣けた。
悲しいと思えた。
これでいいんだと思った。
私は悲しかったんだ。
まだしばらく悲しいと思う。
でも、これでいいんだ。
それだけカプチーノが好きだったんだ。

人は、日常の中で、気が付かないうちに、
色々な感情を感じないようしいているのだと思った。

きっと、私だけじゃない。
誰にでもそんなことがあるのではないだろうか。
まともにいちいち感じてたら身が持たないから、
流してしまったり、感じてないことにしたり。
まだまだ私もそんなこといっぱいしてるんだなぁ。

おばさんも、田舎の人って感じで、
遠慮なくプライバシーにガンガン入ってくる人でもあるけど、
全然悪気ないのはわかるし。
ひょんなことで、自分の本当の気持ち、見つめた。

辛いけど、これでいいんだって気がする。
しばし、ちゃんと落ち込もうと思う。


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