世界お遍路 千夜一夜旅日記

2002年07月04日(木) ★本日30,5キロなり★

6時02分の奈半利よりの始発電車、唐浜へ。
空は曇りだ。
駅への道で前方よりご夫婦遍路が見えた。「どこにお泊まりでした?」ときいたら、そこのビジネスですよ、今日は27番なんではやく出てきたんですよ。
と旦那さんの方がにこやかにいう。いいお顔だ。定年退職での歩きのご夫婦だろう。
11分、唐浜着。真新しい駅舎の外でおばさんが掃除をしてうれしそうだ。
駅舎の周りはウンカ(稲の虫)だらけ。おばさんにこれ、ウンカといったら、よくしっちゅうね、とほめられた。
国道に出てすぐ、若い男の子お遍路にであった。
良心市で「イクリ」と合ったプラムのような果物を買った。
小粒だが、50円で結構あった。酸っぱいが歩きには合う味。要するにソルダム小型版だ。
Kさんと立ち食いで食べるからうまいんだよね、とばきばき食べる。白衣にピンク色の汁をしっかりととばしてつけてしまった。

蒸し暑い。汗がじわじわとまるでガマの油のように流れる。いやはやだ。
海は荒れている。
台風の影響だろう。
波切不動尊で一回目休憩。神木椰(なぎ)の木を中央分離帯のところに残した考え方(思想)は今や一番現代的な環境保全のやり方に通じると思う。
それにしてもあちこちで歩道が広くなった。そして、鉄道開通のために景観が変わった。沿線の人たちにとっては待ちに待ったということでなんか、駅近くはなんかうれしそうだ。
イオキ川近くでまた買い食い、今度はミニトマトだ。甘い。細長くて甘いのだ。まるで果物を食べているよう。
kさんとこのトマトはスーパーで見ないよね。といってむしゃむしゃと一袋を食べきった。何しろ、朝ビスケットを3切れだけ食べて出てきたのでなにをたべてもうまい。ついでにコンビニでおにぎりでもと思っているのだない、コンビニが。
もしかして、高知県って日本でもコンビニ普及率の悪いほうの県ではないか。
イオキ川で網を打ったり石の下に手を突っ込んでなんか捕っているおじさんがいる。
何だろうね、とkさんとしばらく立ち止まってみていたが、たまらず、おじさーん、なにとっているんですか?と声をかけた。
「鮎じゃ」のアンサー。
おお、鮎か、天然の鮎か!!
kさんとどうやって食べるんだろね、とまたまた食い気。
何しろ、二人ともおなかが空いている。
やっと安芸の童謡トイレの前にあるファミレスに朝定食の看板を見てけてはいった。
クーラーが利いている!
冷たい水がうまい!
ご飯もよし。
ご飯、茗荷の味噌汁、納豆、あじの干物、じゃこ天みたいなやつ、キュウリ、梅干し、卵焼きと付け合わせにたっぷりのサラダ、味付け海苔。最後にミニコーヒー。結構でした。あじの干物とミョウガの味噌汁は絶品。700円也。
私はこの空腹感とおいしい!を感じにお四国に来る。

9時30分、二人とも大満足で歩き出す。
途中で逆うちの男性と会う。荷に、野宿の道具が見える。
やがて、自転車道へ。
うねりが高くて、海の潮が道にまで飛んでいる。飛沫がミストになってふりかかってくる。
八流山極楽寺着、11時すぎ。日が出てきて俄然暑くなる。汗は滝のよう。
まえにこのルートを歩いた夏遍路の時も11時をすぎると急に暑くなったという気がしたのだが今回も、だ。
極楽寺、お参りはしたが、犬がすごくたくさんいてやたらにほえて落ち着かない。トイレをお借りする。

冷たいモノがのみたい・・・と探して国道へ。
500ミリを一気。
西国のときもそうだったけど、まただ。
次は、赤野の休憩所で20分以上のお休み、で、うねりで白い飛沫をあげている海を眺める。座ると動きたくないよ。このままいたい、暑くて。
赤野橋近く、土佐黒潮鉄道の鉄道線が眼下。ここ、写真のポイントとしてはベストの一つだろう。
しばらく行くと松林の中に大きな縁台のような板敷きのお休みどころがあった。
またまた二人して上がり込んでひっくり返る。
ホント、海からの風で気持ちいいのだ。丸太の枕もあるし。
靴下も脱ぐ。きっもちいい。
寝付きのいいKさん、ぐうぐういびきかいて、寝始めた。
いや、参った。
私もつられてうとうと。
前のこのへん(確かもすこし先)で昼寝をした。
道も単調、木陰もあるし、で眠りたくなる?いや、11時過ぎの暑さでシエスタを体が要求するのは自然?
30分の昼寝で、ようやくまた動き出す気になった。
私たちが起きあがったら、男性お遍路さんが一人行った。
これで、今日は5人会った。このあついのに5人。すごいよね。
20分も行かないうちに今度は自販機とトイレを見つけた。また休憩。
ぜーんぜんまえに進まない。
地図がめくれない。
「こんなことしていたらつきませんね」と1時間、休まずに歩くことを誓ってすたすたすた。
やっと、地図がめくれた。
夜須に入ってほうえい橋そばに「ヤシイパーク」とかいう立派な公園ができていた。鉄道開業の記念らしい。

やっと、赤岡にはいって、今日の宿かとりさんもちかくなった。
国道筋かとりさんてまえのお店で、ミカンを買おうとしたら休んでいってください、といわれて奥の椅子で、冷たいカルピスのお接待をいただいた。
クラーのそばでいただいたカルピスは「極楽味」だった。
繪金祭りの話をした。
繪金は絵師、中央を追われてこの赤岡でたくさんの怪しい繪を残した。
 祭りは7月の第3土日だという。今度ゆっくり来て下さいといわれた。
マジに、そうしたい。

4寺10分。かとりさん着。
おきまりの風呂洗濯ご飯。
食後、Kさんといろいろと亡くなったご主人の思い出話をした。
私がKさんと会ったのは95年のお遍路、そのとき元気だったご主人が97ねんに、交通事故でなくなってもうおられない。
「じきに7回忌なのに、でもまだ帰って来そうな気がするのよね」
「お大師さんのとこで修行をしているうだろうけどねえ・・でもねえ」
彼女突然夫を失った心の傷はまだ癒えていない・・・。
事故のむごさをまた思う。
でもお遍路で、思い出話をいろいろとするのは、彼女の心のためにもいいし、亡くなったご主人の供養にもなると思っている。

明日は午後、雨らしい。




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