ウェブ日記
2006年12月09日(土) ドラえもんの古いアニメ(続)/チェッチェッコリ/サラスポンダ仮説
ドラえもんの古いアニメ(続)

「ドラえもん 日テレ」でぐぐると313000件ヒットした。 ウィキペディアにも記事があるので安心した。

ところで Broadband君はまだ健在のようです。

チェッチェッコリ

1976年か1977年(私が小学5か6年のころ) 参加したある合宿で次のような歌を歌ったことを思い出した。

チェッ、チェッ、コレッ
チェッ、コーリサ
リサンサマンガン、
リサンサマンガン
ホームランチェチェ

ぐぐってみたら、この歌は「チェッチェッコリ」と普通呼ばれるようである。 「リサンサマンガン」を「二酸化マンガン」と「間違って」歌う人が多いのには納得した。 日本語のウェブページの中にはガーナの歌と紹介しているのがあったけど、 それ以上詳細は不明。

それで言語好きな私はさらに調べてみた。 でもアフリカの言語はアフリカーンス語以外分からない。 チャ行の音は各国語で色々綴られるし (chとかcとかtchとかtjとかtcshとか…)、 ラ行には周知の通りlとかllとかrとかrrとかあるから どう検索すれば良いか分からず困った。

でも「ghana song cheche」で検索したら、 284000件ヒットし、遂に見付けました! 「Che Che Kule」で1820件、「Kye Kye kule」で806件、 「Je Je Kule」で72件。 これらが歌の題名。 Songs for Teaching: Kye Kye Kule; Traditional West African Call and Response Song (Also known as Je Je Kule or Che Che Kule)とか Crossing Borders/Breaking Boundaries 2000: A Multidisciplinary Institute for Arts Educators; Rituals and Traditions のページを見て少し納得。 ちなみに歌詞は次の通り(上の2ページと 前者のサンプルmp3を参照)。 バリエーションが色々あるみたい。 正確にはどう綴るのだろう…

Kye kye kule (チェ・チェ・クレ),
kye kye kofi(n)sa (チェ・チェ・コフィ(ン)サ),
kofinsa langa (コフィサ・ランガ),
kaka shilanga (カカ・シランガまたはKye kye kilanga?、チェ・チェ・キランガ),
kum adende, hey! (クム・アデンデ・ヘ!)

今後さらに調べる予定。 それにしてもサラスポンダ(sarasponda)は本当にオランダの紡ぎ歌なのか?

サラスポンダ仮説

サラスポンダ(sarasponda)は小学生のとき歌集で見たことがあるけど、 歌ったことがない。 これはオランダの紡ぎ歌と一般に言われているが、 本当にそうなのか、昼突然気になって調べてみた。 残念ながらネットで決定的な情報は見付からなかった。

YMCA Camp Loowit Campfire Songsによると 歌詞はこうである。

Boom da, boom da, boom da,
Sarasponda, sarasponda, sarasponda ret set set
Sarasponda, sarasponda, sarasponda ret set set
Ah door ray oh, ah door ray boom day oh
Ah door ray boom day ret set set
Ah say pa say oh. 

代りにこの歌詞を見て感じたことは、 これはオランダ語の歌詞ともヨーロッパの言語 (インド・ヨーロッパ語族)の歌詞とも思えないことだった。 理由は、

  1. オランダ語やヨーロッパの言語由来(と思われる)単語を見かけない
  2. サラスポンダに関するオランダ語のウェブページがほとんど検索されない。 しかもオランダではこの歌は聞かないという旨の掲示板の発言を見かけた (ソース略)。 おまけにアメリカと日本以外のウェブページでサラスポンダについて書かれているものが少ない
  3. 歌詞の後半の単語に母音がたくさん含まれる
  4. 歌詞の後半の綴りは母音の多いヨーロッパ以外の言語(日本語など)を英語で近似したときの綴り方に近い (「あ」を「ah」、「れ」を「ray」、「お」を「oh」と綴る等)
  5. ヨーロッパの言語では歌詞の中にrとlの音がどちらも普通入るのに対し、 サラスポンダの歌詞にはlが無い
  6. 歌詞の後半では「ah」で始まり「oh (-ay oh)」で終る規則が見られる

等。 以上のことから考えられることは、 サラスポンダはアメリカ起源の歌で、 もしかしたら絶滅したかもしれない、 アメリカインディアンの言語の歌かもしれないこと。

そう仮説を立てて 歌詞をよく見てみよう。 話をしやすくするため、 歌詞の綴りで「ah」を「a」、「oor」を「o」、「oo」を「u」、「ay」を「e」、「oh」を「o」に変え、 ハイフンを適当に入れてみる。 するとこうなる。

Bumd-a, bumd-a, bumd-a,
Saraspond-a, saraspond-a, saraspond-a ret set set
Saraspond-a, saraspond-a, saraspond-a ret set set
A-dor-e-o, a-dor-e bumd-e-o
A-dor-e bumd-e ret set set
A-sepas-e-o.

この歌が本当に紡ぎ歌なら、 よく出てくる「bumd」は紡ぐの意味かもしれない。 「bumd-a」が繰り返されるのでこれは「紡げ」の意味かも。 そうすると単語の後ろの「-a」は命令を意味するかも。 単語の先頭の「a-」、単語の「尻」の「-e」と「-o」の考えられる意味はそれぞれ、 「それのため(代名詞)」、助詞(例えば未来形)、人称代名詞(「私」)とかがありうる。 あと単語に適当な意味を持たせる、 例えば「saraspond」が「上等なドレスを作る」、 「ret set set」は囃子言葉、 「dor」が「糸の元を取る(麻のような植物を収穫して煮て繊維を取る)」、 「sepas」を「布を織る」とか。 すると歌詞の意味は例えばこうなる(全くの仮定だけど)。

紡げ、紡げ、紡げ…
上等なドレスを作れ、ドレスを作れ、作れ、ソレソレ
上等なドレスを作れ、ドレスを作れ、作れ、ソレソレ
そのために糸の元を取るでしょう、私は
そのために糸の元を取って紡ぐでしょう、私は
そのために糸の元を取って紡ぎ、ソレソレ
布を織るでしょう、私は。

おお、様になっている!

アメリカインディアンの民族音楽は それに影響を受けたと考えられる ドボルジャークの交響曲「新世界より」のような5音階と思われるけど、 サラスポンダはドレミファソシドの音階からできているので、 もしかしたら欧州か開拓民由来かもしれない。

と私の想像を膨らませて来たけど、 真相は如何に?

(10 Dec 2006追記)
もっともらしい解説を追加すると、

  • 綴り方を変えた歌詞で二重母音が消えたのに注目。 二重母音を単母音に変換したからと言われそうだけど、 英語式に外国語を綴った場合単母音が二重母音に変ることがしょっちゅうあることに注意 (例えば「カフェラテ(caffe latte)」が「カフェラテイ("cafelatay")」)。
  • 他のウェブページを見ると(ソース略) 単語(歌詞では動詞と見なしている)の語幹自体の母音が時々変っている (例えば「door」が「doe」に「pa」が「pah」や「paw」に) のに対し、「Ah」や「day」や「oh」の綴りは母音が明瞭なままで滅多に変らない
  • 「boom da (bumd-a)」や「sarasponda (saraspond-a)」がそれぞれ 「boom dah」、「saraspondah」と書かれていないのに注意。 もし後者のように書くとおそらく意味が変るのだろう。

上の2点を踏まえると、 ますますサラスポンダはヨーロッパの言語に思えなくなる。 後者では二重母音はよく見かけるし、 単語の語幹より接頭語や接尾語の母音はあまり明瞭に発音されないことが多いから。


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